議 事 録




■第155回国会 予算委員会 (平成14年11月25日)


・委員長(陣内孝雄君)
 関連質疑を許します。山下英利君。
・山下英利君 
 自由民主党の山下でございます。
 木村委員に引き続きまして、関連の質問をさせていただきます。
 私は、今大変問題になっている金融機関の不良債権の処理問題について、政府に御質問をさせていただきたいと思っております。
 構造改革を進める中で金融改革というのが一つの大きな要素になっているわけですけれども、言ってみれば、病人の体を手術する場合に、不良債権という病気を取り除こうとする、しかし病人の体が大変弱っていると。病人の体、体力を付けさせながら、かつこの病気を根治させなければいけない、大変難しいかじ取りをしなければいけないというのが現状だと思います。
 竹中金融担当大臣におかれましては経済担当大臣と兼務ということで、マクロ経済の側面から、そしてミクロというか現場の金融の問題と両面を進めていかなきゃいけないというところで大変な御苦労をされていること、私も心から感謝を申し上げる次第でありますが、昨今伺っておりますと、どうも従来のいわゆる金融行政といいますか、金融界といわゆる行政との連携というのが違ってきているように私も感じているところがあります。と申しますのも、十月の末に金融再生プランということで竹中大臣が一応プランをおまとめになるといったときに、策定時においての金融界の反応というのが報道で伝え聞きますと、どちらかというと政府に対して大変批判的であったというふうに受け取られると。
 これはもう要するに、私も報道で聞く限りでございますので、中身がどうだったかということは分からない部分があります。しかし、自分自身でこれまでの金融行政、これを見てまいりましたときに、いわゆる通常言われるのは護送船団方式と言われて、行政と金融界一枚岩でこの金融システムを支えてきたと。そして、金融界にとってみれば、現状、個別の企業であると同時に、また一端では金融行政の一翼を担っているという思いがあってこれまでやってきた部分があります。
 しかし、その段階で、昨今の動きを見ておりますと、金融界が今回不良債権処理を加速させるといったところで、急激な対応というものに対してどうも対応が十分できていないのではないかなと、そのように私も感じられてならないんですけれども、竹中大臣の御意見をお聞かせください。
・国務大臣(竹中平蔵君) 
 金融に限りませず、恐らく監督当局とそして現実の産業、業界との関係をどのように保っていくかというのは非常に、どの国においても、どの時代においても難しい問題の一つであろうかと思います。
 私は、かねてから思っておりますが、特に金融等々に関しては、当局と業界の間で建設的な緊張関係のようなものが常に必要ではないかというふうに思います。これはもう対立していたらもちろん何もできないわけでありますし、良い結果を生み出さないわけでありますが、言わば完全な一枚岩というのもその中で逆に国民の利益が失われてしまう可能性もある。その意味で、建設的な緊張関係をいかに作っていくかということが、行政の中身に加えまして、やはり関係構築という意味では大変重要であると思います。
 十月三十日の金融再生プログラム発表の過程で銀行界が反対したという御指摘ありましたけれども、もちろんこれはガバナンスの強化とか資産査定の強化でありますから、そうした強化という観点からすると、強化される方は当然何も批判がないというわけではこれは常にないと思います。しかし、基本的には、総理が御指示になった十六年度にはこの問題を終結させるということについては、これは業界も問題意識を共有してくださっているというふうに思いますし、そういう意味では、建設的な関係が徐々に築かれつつあるというふうに思っております。
 ただ、委員の御指摘は、これまで、何といいますか、これはまあ随分以前のことでありますけれども、護送船団という言葉が使われて、そうした中でリスク管理とかが十分に定着していない業界において若干の戸惑いがあるのではないかという御認識かと思われますが、そうした点についても私は業界は次第に変わってきているというふうに思いますし、そういう点が徐々に結果として現れるような形で、今日も決算の、中間決算の発表がなされますけれども、そうした中に新しい金融界の姿が少しずつでありますけれども、出てくることを期待をしております。
・山下英利君 
 ありがとうございます。
 その緊張感のある関係というふうに今、大臣おっしゃったんですけれども、正にそこは一つの形ではないかというふうには私は思うんですけれども、じゃ今この環境の中でデフレ経済で大変景気も停滞している、そして取引先である中小企業、実に四大銀行といいますか、主要銀行の六割の不良債権というのは、これは中小企業であります。そういった中で緊張関係を作るというインパクトが取引先まで及んでいるということも我々はしっかりと受け止めなければいけないというふうに思います。その件については後ほど質問をさせていただきたいと思いますけれども。
 そんな中で、一枚岩でないというお考え、分かるんですけれども、じゃ現場で何が起きているか、現場としてはどうしたら一番この不良債権の処理が進むのか、そういった意見をやっぱり聞く必要があろうかと思います。
 私も銀行の関係者に聞きますと、最終的な着地、これは不良債権をできるだけ早く処理をして、そして身軽になって本来の銀行の業務である融資、信用創造、これをやりたいという強い声を私は聞いております。本来、銀行の業務というのは信用創造によってやはり経済を活性化していく、企業を育てていくと、そういったところが自分たちの生きがいであるということで今まで歩んできたわけですけれども、これがこのデフレの中にあってどんどん信用収縮が進んで実際に今、貸しはがし、貸し渋りという形で大変な批判を受けていますけれども、それもBISの規制であるとか、あるいはやはり企業自体が体力を失っている、銀行も体力を失っている、そんな中で生まれてきている総合的な問題であると、そういうふうに思います。
 したがって、この金融機関の不良債権の処理に当たって、ただ単に政府がやる、あるいは民間がやるということではなくて、これは国家プロジェクトとしてこの二年間で決着を付けるというふうな体制に持っていく必要があろうかと、私は本当にそう思っております。
 したがって、竹中大臣に改めてお聞きをいたしますけれども、今回、大臣が、金融分野緊急対応戦略プロジェクト、これをお作りになって、一応このプランの下案をおまとめになったと。この段階において、いわゆる金融界といいますか、現場がこのプロジェクトチームに参加をしていなかったというふうなことも聞き及んでおるんですけれども、この辺の理由についてお聞かせをください。
・国務大臣(竹中平蔵君) 
 委員御指摘になったように、総合的な観点からこの正に国家的な難局といいますか、難しい問題にこたえていかなければいけない。負の遺産、これは御指摘のとおり、不良債権というのは言わば負の遺産でありますから、本来、前向きの信用創造ができるようになりたい、銀行自身も、銀行員の方々もそのように本当に願っているのだというふうに思います。
 そこで、この新しい総合的な戦略を考える上で、御指摘のように、私自身に知的なインプットをしてくださるプロジェクトチームを作ったわけでありますが、改めて申し上げるまでもありませんが、これは、プロジェクトチームが金融再生プログラムを作ったわけではありません。言わばフリートーキングの場としてそういうものを設けたということであります。
 これはすべての審議会等々について当てはまることでありますけれども、言わば当事者にどのような形で参加していただくのが一番よいのかというのはなかなか難しい問題だと思います。当事者で当事者のことを決めるということになるとバイアスが掛かるかもしれない、しかしながら当事者の意見を聞かなければいけない、これはまた一方でそういうことだと思います。
 例えば、金融庁にあります金融審議会の中には、そういったことも意識して、メンバーはいわゆる金融機関の方ではない方で、専門委員として金融機関に入っていただくというような方法も考えられている。今回、プロジェクトチームは短期間でいろいろ議論をしなければいけませんでしたので、極めて少人数にさせていただいて、一定の利害からは独立した専門家に集まっていただこう、当事者といいますか、産業の方にはヒアリング等々を通じていろいろ議論に参加していただこうと。これは全銀協の会長にも来ていただきましたし、RCCの方にも来ていただいたし、そういう形で議論を進めて、結果的にはそういった方々の意見を聞く機会というのを相当に設けたつもりでございます。
・山下英利君 ありがとうございます。
 今の大臣の御説明なんですけれども、言ってみれば、金融界が緊張感が足りないとよく言われているわけです。メガバンクにしても、合併をしましたけれども、なかなかその整理統合も進んでいないと、そういった御批判もあるわけです。ただ、中にいる人間にとっては外で何を言われているかというのはぴんとこないわけですね。
 ですから、例えばそういったたたき台の段階であっても、もしそのプロジェクトチームに参加をさせていただいて、そういった厳しい話が出るということは、これは金融界がもう一丸となってこの不良債権処理に全力を挙げて頑張ると。要は、個別の企業の問題としてのリストラという話だけでなくて、不良債権をどういうふうにして対応していくかというそういう大きな目標に向かって進める大切な一歩ではないかなと、私はそのように思っておりますので、たたき台ができるところから、たたき台を作るところから参加をすることによって余計更に気持ちの入り方も違ってくるということを私は申し添えさせていただきたいと思います。
 それで、今の言葉で、それに追加をするわけではないんですけれども、したがって、この不良債権の処理を加速させることについて、企業金融取引、実際に現場でやっている金融界が今後これに全力で邁進するというか、邁進させるというか、踏み込んでいくためには、やはり金融仲介機能の回復、そして企業再生等のこれから言われている施策に対して官民協力という形がこれは本当に不可欠ではないかなと。もちろん、金融界だけでなく、企業再生の問題につきましては、他の業界の考え方、これも取り入れなきゃいけないという部分はありますけれども、竹中大臣、これからの不良債権処理、金融庁としての金融機関との官民協力体制、これについてはどうお考えになっていらっしゃいますか。
 一つ申し上げたいのは、民間がやるべきこととそれから政府がやっていく、国が後押しをしていく、そういった役割分担というのはやっぱりきちんと決めて各々にベストを尽くすというのが一丸となったプロジェクトの成功の要因ではないかなと思いますけれども、いかがでございましょうか。
・国務大臣(竹中平蔵君) 
 不良債権処理、企業再生、そういうことの主役は、申すまでもなくこれはやはり民間部門である、これはもう大変重要なポイントであろうかと思います。実は、政府部門ができることの役割というのは、突き詰めて考えれば考えるほど、実は決してそんなに大きなものではなくて、民間の部門がきっちりとワーク、作用するような枠組み、そういう仕組みをいかに作るかということにもう尽きているのだと思います。
 今回、資産査定をきっちりとやってくださいと。資産査定をやるのは実は銀行なわけですね。これは銀行の自己査定に基づいてやっているわけですが、残念だけれども、金融庁が検査に入ってみると、金融庁が行う査定よりも民間の方がはるかに低いところにある。この格差を今回初めて公表させていただきました。三六%、第一巡目ではあった。しかも重要なことは、これは随分と銀行によってはばらつきがある、五〇%以上乖離しているところは十五行中五行もあった。
 先ほどから、民間の意見を聞くということを委員御指摘ですけれども、私、全く重要だと思いますが、実は民間部門が実にばらばらの状況になっているということを踏まえたやはり議論にしなければいけないということだと思っております。
 いずれにしても、その意味では、そういった民間部門の健全な競争メカニズムが働くようにする。しかし、ある意味で今は非常に特殊な時期であると思います。であるからこそ、この問題意識を共有して、例えば企業再生に関しては官民挙げてすべての日本の総力といいますか、資源を投入してこれに当たらなければいけない。その一つの現れが産業再生機構を設立するということになったわけで、あくまでも民間が主役であるということ、官はその枠組みを提供するということ、しかし場合によっては官民挙げて再生機構のような協力体制を作っていくこと、そういうことの組合せが必要であるというふうに思っております。
・山下英利君 
 ありがとうございます。本当に再生機構というのが大きなかぎを握っている、そのように思います。
 それで、今、竹中大臣の御発言をいただいたんですが、私は今までの金融界の対応を見ておりまして、金融界がこの不良債権の処理、これを民間だけでということでなくて、国としてこれをとにかく前進させなければいけないといったようなプランを提言したということを余り聞いたことがないんです。それはなぜかというと、やはり先ほど一番最初に申し上げたような、従来の体制をそのまま引きずっているんではないかなと思います。金融機関自身、生き残りを懸ける、もちろんそれは企業としての生き残りだけでなくて、日本の金融システムを支えるという大きな見地に立ったそういった意見を提言させるということは大変必要なことだと思いますので、大臣、是非現場の意見を聞いて、しかし二年後には不良債権の処理をこれを決着を付けるということをゴールを置いてそのステップを切っていっていただきたいと思います。
 それからもう一つは、やはりそういった流れの中でその話が先に走ってしまったというようなところは、これは否定できないところじゃないかなと思います。特に、やはり今取引先も大変不安な状態であります。私は、この話を聞いたときにすぐに目に浮かぶのは、もう十年、二十年と長い間銀行と付き合ってきてという中小企業のおやじさんが、例えば実際バブルの影響も受けずにやってきたけれども、構造不況で返済が今までどおりできなくなってきた。そんな中で、例えば五年で返済するところを、じゃもう少し延ばしてほしいといって延ばした場合にそれが不良債権となってしまうというふうなところは、これからの企業再生という意味からおいて、やはり現場を知っている人間でなければなかなか判断が付かないんではないかなという気持ちがいたします。私自身の意見としては、その企業再生、これはいわゆる整理統合、これをだれが決められるんだといったら、これは民間が決めていく話ではないかなと、そのように思っているわけであります。
 それで、今そこでその企業再生という問題になりますけれども、昨年、RCC、整理回収機構を強化するという形の体制を作りまして、今回それが発展して再生機構、これを作るという形になったわけです。私の理解では、そのRCCの再生という機能を、やはりこの再生が大事だということで国家プロジェクトとして分離したというふうに理解をしておりますが、今日、谷垣大臣にお越しをいただいておりますので、そういった考え方で間違いないでしょうか。あるいは、違っていたら教えていただきたいと思います。
・国務大臣(谷垣禎一君) 
 いわゆるRCCにつきましては、今、山下委員がおっしゃいましたように、昨年機能を拡充して、そして、ともすればあそこへ送られるともう死亡宣告だというようなイメージもあるんですが、実際にあそこがやっていることを見ますと、かなり再生の努力をして、数はまだ私正確に覚えておりませんが、七、八十再生させたということもございます。そういうことは、やっぱり私は今の日本の経済状態において大事にしなきゃいけないと思っております。
 それで、これから作ります産業再生機構もそういった流れの中にあることは委員のおっしゃるとおりでございまして、もう少し強化したものを作りたいと、こう思っているわけでありますけれども。しかし、産業再生機構とRCCが、もうRCCはそういうのは、そういう産業再生の機能はもう全部引き揚げていただいて我々の方に持ってくる、全部持ってくるというようなことは考えているわけではありません。やはりお互いに切磋琢磨して、それぞれの良いところは、何というんでしょうか、お互いに補完し合うような、そういう関係のものを作っていきたいというふうに考えております。
・山下英利君 
 どうもありがとうございました。
 今、谷垣大臣にお聞きしたのも、こういう形で再生の問題について今後RCCとこの再生機構という二つの部分が出てくると。しかも、今言われているのは、メーンバンクとそれからそれ以外の銀行の不良債権、メーンバンク以外の不良債権を再生機構で全部買い取って、これについてどっちへ振り分けるか決めるという形になっているわけですね。
 そうしますと、じゃ今度、RCCというのは、これは金融庁の関係という形になってくると、そこの連携というんですかね、これは非常に大事。大事というか、むしろ切磋琢磨してというのはいいんですけれども、それがお互いに足を引っ張ってしまうというようなことはゆめゆめないように、これは私も一生懸命考えて努力をさせていただきたいと思いますし、それについての御指導をお願いしたいと思っているところなんです。
 そこで、今日たまたまちょっと昼のニュースを見ておりましたら、これはまた出てきた話なんですけれども、メガバンクの一つが、子会社を作って、そしてそこに不良債権、要注意債権等を分離をする、そこに移し替えるというようなことを報道をいたしておりました。内容については、細かい内容は分かっておりませんけれども、元々この不良債権の議論で、やはり国民から一番批判といいますか焦点になっているのが、やはり貸し渋り、貸しはがしということに対する批判であったかと思います。
 それに対するいろいろな対応を今まで考えてきたんですけれども、言ってみれば、これまでの銀行間との議論の中で、どうしてもこのBISというか国際決済基準、これの八%というのが独り歩きをしているというふうに私は思えてならないんです。自己資本比率という話が盛んに流れます。だけれども、実際にその自己資本比率、確かにそれが銀行の健全性ということはありますけれども、資金を借りたい、取引をしたいと思っている顧客にとって、その相手銀行が自己資本比率が八%あるかないかということは大きな問題ではないと。
 八%というのはあくまでも国際決済基準の自己資本比率ですから、実際には四%という、国内で特化するということであれば四%ということも言われているわけなんですけれども、今回、その八%が独り歩きをしているというふうな状況について、竹中大臣の御意見をお聞きしたいんですが。
・国務大臣(竹中平蔵君) 
 BISの基準というのは、現実問題として、やはり非常に大きな意味合いをこの社会でもう既に持っているというのは御指摘のとおりだと思います。
 ただ、現実に、じゃこれを否定できるかというと、これは銀行業務というのは結局のところマネーという非常に単一の商品を扱っている非常に特殊な産業であって、かつ瞬時にこの付け替え、動きがあるということで、結局のところ非常に大きな世界のネットワークの中で仕事をせざるを得ない状況になっている。こちらが安心して付き合っていると思っていたところが外国の金融機関と関係していて、その外国の金融機関が非常に危ない状況になったら結局我々も影響を受けてしまう。
 ですから、この八%基準というのは、確かに日本を縛る基準であると同時に、我々が世界の中で安心して行動できる基準にもなっていると、これがやはりその意味合いだと思います。その意味では、この基準は基準としてしっかりと受け入れて守っていかざるを得ないという問題だと思います。
 むしろ、委員御指摘の貸し渋り、貸しはがしといったような問題は、むしろ銀行の行動において、収益性の低いところに何か貸し込んでいるのではないのか、その分ちゃんとやっている中小企業にお金を貸してくれないのではないだろうかと、そういうむしろ銀行経営のこれはガバナンス、そんなことをちゃんとした銀行ならやるはずがないわけでありますけれども、そのガバナンスの方にむしろ問題があるんであって、そういう視点から金融再生プログラムでは、資産査定の強化、ガバナンスの強化というのを重視して、全体として銀行部門がうまく機能して企業を支えるような状況を実現したいというふうに思っているところです。
・山下英利君 
 ありがとうございます。
 今の大臣の御説明、確かに、今銀行が貸そうと思っても、なかなか貸せる先はリスクが取りにくい。しかも、一番の問題になっているのは、そういった危ないといいますか、やはりこれからどうなるか分からないと、だけれども、今、資金需要があるところにじゃ貸そうとした場合には担保という問題があります。
 担保といいますと、やはり土地と、不動産ということが従来から日本では主になっているんですが、どうにもこの資産デフレが止まらない、担保価値がどんどんどんどん減少していってしまうと。そうすると、やはりその引き当て力が弱まってしまう。そういったことを考えると、どうしてもなかなか貸すという行動にまで民間の金融機関が出ていけないと。それを補完するのがやはり政府系であるという理解をしております。
 政府系が直接貸すという発想ではなくて、民間とやはりリスクをシェアすると。例えば債務保証とか、そういった形でこれだけ金融を緩和してとにかく市中にお金が回るように努力をしているわけですから、それを民間の金融機関を経由して出せる方法がないだろうかということも一つ大きな考えるポイントではないかなと私は思っているわけであります。
 そこで、竹中大臣、もう一点お聞きをしたいんですが、先ほど、ハードランディング、ソフトランディングと、いやそうではない、グッドランディングだという御回答をいただいたんですけれども、今、デフレ対策とこの不良債権の処理、これをどういう順番で進めていくかというのがこれが大変重要なポイントだと思うんです。
 最近を見ておりますと、どうもこのデフレ対策よりも不良債権処理の方だけが先行しているように報道もされますし、これは、言ってみれば、雇用に対しても大変な悪影響を及ぼす、デフレ圧力を加える以外の何物でもないというふうに思うんですけれども、今、大臣が工程表をお作りになっていらっしゃるというお話です。その工程表についても、工程表を作るといったお話があるだけで、工程表の中身はどうなるんだろうか、それが取引先にとってどうなんだろうかという、やはり疑心暗鬼というものも出てまいります。
 実際、大臣が金融担当相としてこの不良債権の処理問題についてのいろいろなスケジュールであるとかやり方を決めていく中で、デフレ対策というものをにらみながら、実際に効果のあるように、デフレ対策が効果が出てくるそのタイミングというのも十分に見ながらの工程表の作成であってほしいと、私はそう思っておるんですけれども、この資産デフレをまず止めることが今一番大事な話であって、そこから不良債権処理が進むというふうに私は思っているんですけれども、大臣、お考えいかがですか。
・国務大臣(竹中平蔵君) 
 デフレの議論はこの予算委員会でも随分といろいろとさせていただいたというふうに思います。
 重要な点は、金融が先行して、金融対策が先行してデフレ対策が後れているのではないかという御指摘だと思いますが、私はむしろそうではない形で議論が進んできたと思っております。デフレ克服の基本的な王道というのはやはり経済を活性化させることである、経済を活性化させるためにどうするかということで、骨太第二弾始めずっと議論をしてきました。その中で、実はともすれば金融、不良債権問題の処理がむしろ相対的には後れていたのではないか、それを加速させる必要があるということで今回の総理の御指示になっているわけです。その意味で、私は、むしろ金融の方が少し追い付いたというのが現状なのだと思います。
 重要な点は、しかしデフレ対策との相互性といいますか、相互補完性というのはこれは大変重要でありまして、デフレのしかし原因となると、これもうたくさんある。需要も付けなければいけないし、しかし中国の存在のような供給側の問題、なかなかもう避けて通れない問題もある。しかし、基本的な問題としてはやはりマネーが増えないという金融の問題である。だから、デフレを克服するためにも不良債権を処理してマネーが増えるような状況を作らなければいけないという極めて複雑な相互依存の関係にある、だからこれを一体的に進めようとしているというのが今回の総合対応策であり、それに予算的裏付けを付けるプログラムを作るようにという御指示が先週金曜日に総理からあったわけであります。
 一つ、工程表のお話がありましたけれども、この工程表というのは少しマスコミ等々で誤解されている節があるんですが、例えば金融再生プログラムに、新しいこういう評価の基準を設けるということを再生プログラムで書いてあります。じゃ、これをどうするんだと。そのためには、公認会計士協会にいろいろ基準を検討してもらわなければいけないと。その公認会計士協会にいつ検討をお願いして、いつまでに出していただく、そういうものが工程表でありますので、ある意味で再生プログラムをどのように実現していくかという事務的な作業のスケジュールである、そういうものであるというふうにこれは御理解をいただきたいと思います。
・山下英利君 
 ありがとうございます。
 今、大臣、事務的なというふうにおっしゃいましたけれども、その事務的なところが大変気になっているというのが業界であり、かつ一般の取引先、中小企業であるということを十分御認識をいただきたいと、そのように思っています。
 先ほど来の話をずっと通して申し上げさせていただきたいのは、やはりマーケットが風評によって動く、そして企業を殺してしまう、これがやはり事実としてあるわけであります。これに対する配慮、これは大変重要ではないかなと私は思っております。風評によって金融機関のみならず、その取引先の企業に至るまで信用不安が起きるというようなことに対する影響力、これは大変大きいものがありますので、その辺のところの危険性について大臣のお考え、そしてそれに対する対応策があればお聞かせください。
・国務大臣(竹中平蔵君) 
 株式市場を中心にやはりマーケットが非常に不安定な動きをしているという厳しい現実があると思います。特に、特定の銘柄がストップ安になったと思ったらストップ高になったり、その意味で風評のリスクへの対応として我々がしっかりと対応していかなければいけない問題は多いと思います。何よりもやはり金融システムの安定を図ることが最大の風評の防止でありますので、金融再生プログラムをしっかりとしていくということ、それに加えて証券取引等監視委員会においては、これは日常的に監視を行っていることでありますので、これに違反する行為に対してはもう是非とも厳正に対処していただきたい。現実にそのように対処しているものというふうに認識をしております。
・山下英利君 
 ありがとうございました。
 この風評については、やはり我々が万全を期すという気持ちで対応していかなきゃいけない。先ほどのデフレ対策とそれから金融機関の不良債権処理、これをどうやって進めるかということについても、大変世間一般関心を持っている話でございますので、対応に十分気を付けていきたい、またお願いを申し上げたいと思います。
 最後になりますけれども、この不良債権処理を加速させることによって、やはり失業者という問題、これは大変大きい問題です。具体的な数字というものが独り歩きをするというのは大変怖いというふうに私は思っております。
 しかしながら、これを加速させるについてはやはりセーフティーネット、これをきっちりとやっていかなきゃいけないと思っておりますけれども、金融庁とそれから厚生労働省、ここら辺の連携も緊密に取りながらやらなきゃいけない問題であろうと思います。坂口大臣に、その辺の対応につきまして御所見をお聞かせください。
・国務大臣(坂口力君) 
 今御指摘をいただきましたように、不良債権処理が行われましたときに、それに対します雇用の問題が大変重要になってくることは御指摘のとおりでございます。
 したがいまして、現在の予算の中で前倒しできるものは前倒しをし、そして対応ができるものは対応したいというので、一つは今もう既に発表をさせていただいているところでございます。そして、補正予算のお話をいただきまして、この補正予算の中でどのようにしていくかという問題をそれにプラスさせていただきたいというふうに思っております。
 時間がございませんから細かなことは申し上げませんが、その中で、できる限りきめ細やかにそれぞれの雇用の必要な人に対応をしていく、そしてまた、それだけではなくて、失業をした人に対しまして、さらに企業に対しましての支援も行っていく、あるいは交付金等につきまして、いわゆる特別交付金等につきましても既にもう市町村にお渡しをしてございますが、前倒しでそれらを使用していく、これらのことを行いたいと思っております。
・委員長(陣内孝雄君) 
 以上で木村仁君の質疑は終了いたしました。




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