議 事 録


■第155回国会 環境委員会 (平成14年11月7日)


・委員長(小宮山洋子君)
 環境及び公害問題に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
・山下英利君
 おはようございます。自由民主党の山下でございます。
 この臨時国会の環境委員会の一般質問、まずトップバッターとして大変光栄に存じております。大きな話題からだんだん中へ絞っていって御回答いただくというような形で進めさせていただきたいと、そのように思っている次第です。
 まずもって、鈴木大臣、それから弘友副大臣、望月政務官、このたびの御新任、誠に御苦労さまでございます。環境の問題は本当に幅が広くて大きい問題でもあり、とらえどころのないという中でリーダーシップを発揮していただいて、かくある方向というのを進めていただきたい、そのように私は思っておる次第です。お三方の御奮闘を心から御期待を申し上げる次第であります。
 最初のまず私の質問でございますけれども、一昨日、ごあいさつを大臣からいただきましたその中身について、再度私の方から改めてお考えをお聞かせいただきたいというところから始めたいと思います。
 まず、環境問題に対する基本的な考え方についてでございますけれども、ごあいさつの中に、あるいは循環型と申しますか、持続可能な社会づくりというのが環境の大きな命題であり、かつ全体を見通した幅広い視点に立って取り組んでいくというごあいさつがございました。それを本日の質問の最初といたしまして、できましたら、もうちょっと具体的に分かりやすく御説明を賜りたいと思います。よろしくお願いします。
・国務大臣(鈴木俊一君)
 おはようございます。
 環境問題取り組むに当たって幅広い対応が必要であるということを申し上げたわけであります。これは、環境問題いろいろ出てまいりますが、そうした課題に対症療法的に対応するのではなしに、その根本に根差しているものが何かということを考えながら物事を進める必要があるということを申し上げたかったわけであります。
 私たちの取り巻く環境でありますけれども、これは、大気、土、水、生態系、こういうものが相互に関連し合っているものでありまして、その一部に影響が与えますと、それがまた別のところに現れてくるということでございまして、そういう微妙なバランスの中で成り立っていると、そういう認識を持っております。
 例えば汚染物質などの問題があろうかと思いますが、そういうものが出てきたときに、ただそれを除去すればいいとか、それにただ対症療法的に対応すればいいということではなしに、なぜそういうものが出てきたのか、社会経済の仕組みの中でそういうものがどう生産されて出てきたのか、そういうことまで踏み込んで考える必要があるのではないかと、そういうふうに思っているわけであります。
 したがいまして、これからも、一つの、いろいろな事象が出てくると思いますが、目の前の事象だけにとらわれることなしに、その裏にあります発生原因でありますとか、社会経済の仕組みでありますとか、そういう根本問題にも目を向けて取り組んでまいりたいと、そういうふうに思っているところであります。
・山下英利君
 どうもありがとうございました。
 その基本的な考え方に基づいて環境行政を引っ張っていっていただくということでありますけれども、直面する大きな話題としまして、京都議定書の問題がございます。
 日本の温室効果ガスの排出というのは、もう既に八%に増加してしまっていると、そのように言われておりますけれども、京都議定書の六%の削減の約束を、これは環境を引っ張っていく、リードしていく日本ということからも、何としてもこれは達成しないといけないという大変な重い責任があると、私はそのように感じているわけでありますけれども、削減の約束達成に向けまして、大臣の御決意、これをお聞かせいただくと同時に、日本の発射台はもうかなり既に高い状況の中でこの六%を達成しなきゃいけないという大変厳しい環境にあるというところに軸足を置いて、その御決意と、それからこれからの方向性についてちょっとお述べをいただきたいと思います。
・国務大臣(鈴木俊一君)
 京都議定書でありますが、京都議定書はCOP3で日本が議長国となって、これを出発点に深くかかわったし、それからその後の経緯におきましても、日本がイニシアチブを持って作ってきた一つの重要な枠組みであると、そういうふうに思っております。
 地球温暖化防止の問題と申しますのは、正に人類の生存基盤そのものにかかわる問題でありますから、是非日本としてもこの京都議定書で約束したことをきちんと守っていかなければならないと、そういうふうな強い決意を持っているところであります。
 ただいま山下先生から発射台のお話がございましたが、現在、一九九〇年よりもう既に八%増加をしているということでありまして、京都議定書の六%削減を実現するためには合わせて一四%の削減をしていかなければならないということであります。これは決して容易なことではないわけでありますけれども、是非これは国民の皆様方の御協力も得ながら、是非実現をしなければならないと思っております。こうした取組というのは、遅れれば遅れるほど後々の対応がより厳しくなるわけでありますから、今からできるところをしっかりと取り組んでいくということが重要であると思います。
 国内対策につきましては、もう既に先生方御承知のとおり、地球温暖化対策推進大綱というものを本年の三月に策定をしているわけでありまして、その中で、国民挙げて取り組むべきいろいろな課題、細かい対応というものを、百種類を超える具体的な対策のパッケージを作っているわけであります。私は、この大綱に盛られていることを一つ一つ確実に実行していくということが極めて大切なことであると考えておりまして、こうした大綱の実行を進めながら、確かにこれは生易しいことではございませんけれども、この六%削減という国際約束を達成してまいりたいと思っているところであります。
・山下英利君
 ありがとうございました。
 まず、御決意の方、お聞きしたわけなんですけれども、これは本当に生易しいことではないと思います。しかも、最終的にこの数字が達成できなかったといったときのことを思いますと、もうこれは国際間でも何が何でもやるんだという強い決意の下に、各産業、各事業、日本の国内はともかく、国内だけでなく、海外においても引っ張っていっていただきたいと、そのように熱望するわけであります。その際に、大分大きな荒療治というのももちろん出てくるかと思いますけれども、それに対して我々一生懸命頑張って大臣をお支えしてこの環境行政を守り立てていきたいと、そのように思う次第であります。
 そこで、温室効果ガスなどに伴います温暖化防止についての取組ということで御質問をさせていただきたいと思います。
 まずもって、先般のニューデリーでのCOP8の御出席、大変御苦労さまでございました。
 その折の内容についてはるる報道がなされているわけでありますけれども、世界的な取組という中にあって、この京都議定書については米国は未締結という状況もありますし、それから、今後排出量の激増が予想されている途上国の削減義務はないわけでございまして、未締結国や削減義務を負っていない途上国に対してどういうふうにこれから働き掛けていくのかというところは大変大事な点ではなかろうかと、そのように思っているわけであります。
 そしてまた、先般のニューデリーでの様子を伺いますと、先進国と途上国の間に問題意識のずれと申しますか、言ってみれば、この温暖化ガスについてはこれは先進国の責任であるというふうな発言もあったやに聞こえてきておりまして、また、特に中国とかインドのような途上国とはいっても非常に目覚ましい経済成長を遂げている国が今後の世界的な環境面では大変私は脅威であると、そのように思うわけです。先進国で起こってしまった環境の問題を発展途上国で起こさせないということは、これは私たちも十分に考えて行動していかなきゃいけないと、そのように思うわけであります。
 まず、これからの議定書の発効に向けての状況、それから、今後こういった途上国に対しても日本がするべきことについて大臣のお考えをお聞かせください。
・国務大臣(鈴木俊一君)
 COP8に参加をさせていただきまして、改めて、先進国と途上国間の間の問題意識のずれでありますとか、その前提になっていると言っていいのか、信頼感の欠如と申しますか、そういうものを強く感じてきたところであります。
 しかし、考えてみますと、この地球温暖化防止の問題といいますものはこれはもう地球規模で取り組まなければならない、先進国だけが取り組めばいい、あるいは途上国だけが取り組めばいいという問題ではないわけでありまして、したがいまして、世界的規模での参加というものがこれは重要であると思っております。
 私も、初日の閣僚円卓会議でこの旨についても強く訴えをさせていただきまして、デリー宣言に盛り込むよう発言をしたところであります。デリー宣言におきましては、結果として京都議定書未締結国に対する締結の働き掛けでありますとか、途上国も含めた地球規模での温室効果ガスの削減の必要性、こういったようなこの点についての前向きなメッセージも盛り込まれたところだと、そういうふうに評価をしております。
 また一方、先進国の方を見ましても、アメリカあるいはオーストラリア、こういう国々は参加をしないと、こういうことを表明をしているわけであります。しかし、アメリカなどは全体の二四%近くの排出量があるわけでありまして、やはりアメリカにも参加をしていただくということが重要であると、そういうふうに認識しております。
 COP8の場におきましても、アメリカとオーストラリアとの間で二国間会談をいたしまして、私もその先進国の主要であるアメリカ、オーストラリアにも是非、いろいろ経緯があるけれども、京都議定書に参加をしてもらいたいということを強く申し入れたわけでありまして、今後ともいろいろなチャンネルを通じましてそうした働き掛けをしてまいりたいと思っております。
 途上国との間の問題でありますが、やはり信頼感といいますものを、これをこれから作っていかなければならない、そのためにはやはり日本として約束したこと、そういうことを着実に履行していくということがそういった信頼感の醸成、不信感の払拭につながるものと思っております。日本としてはこれからも積極的に、技術移転でありますとか、またODAを通じたいろいろな資金協力等もしてまいりたいと思っておりますし、環境省として、技術移転や途上国における人材育成、セミナーの開催なども実施しているわけでありますが、こうしたものも継続して実施してまいりたいと、そのように考えております。
・山下英利君
 ありがとうございました。
 途上国に対して、そのように環境面での技術移転であるとか教育といったものについて前向きに取り組んでいただきたいと、そう思うんであります。
 そして、加えて言いますと、例えば日本であるとかあるいは欧米の先進国の企業が、やっぱり企業の責任として途上国の環境を脅かすような活動に対してどのような対応をするかというところも一つはあると思います。これは質問という形ではないんですけれども、やはり日本で空洞化が進んでいると。要するに、日本での環境基準を満たさないような形での途上国における生産というものは、やはりこれは日本としてどのように考えていくのかと、その辺のところは大きな問題ではないかと思っております。
 特に、貿易面で考えますと、やはり同じものができたと。同じものができたけれども、非常に価格は日本で作るよりも大分安いというようなものが発展途上国の方から輸入をされますという状況の中にあって、やはりそれを作っている環境自体がその途上国の環境に対してやはり将来の不安をもたらすような環境で作っているということに対して、やはり我々は責任を持たなければいけないんじゃないかなと、そういうふうに思います。企業のこれは倫理という面からの側面ですけれども。
 それから、海外支援におきましても更に広げて、そういったところまで途上国の環境に配慮をするという思いは必要だと思いますので、またそれについても是非前向きに取り組んでいただきたいと、そのように思うわけであります。
 そして、次の質問なんですが、ただいま私が申し上げたように、日本での生産の空洞化が起こっているといった側面というのは、一つの要因として、やはり今の日本のデフレ経済の中で大きな要因になっていると言わざるを得ないと思います。この今のデフレの経済の中で、環境が要するに経済を引っ張っていく体制というようなものが一つはあっても、望まれるのではないかなと、そういうふうに思うわけであります。
 環境の問題といいますと非常に極めて長期的視野に基づいた対応ということも言われますけれども、じゃ、今、例えば日本がこのデフレ経済の中で経済的にも短期的に効果が上がってくるということがあれば、これは経済環境に対して非常にプラスといいますか、資するものであると、そのような私は理解をしているわけであります。
 例えば、昨今言われておりますナノテクノロジー等の新技術の開拓、これももちろん、どちらかというと中長期的な視野に基づいてというような部門と、やはり新技術を環境に即した開発をしていくことによってそれを産業の発展に生かしていくという意味では、時間的にも短期的に何とかならないかという思いも私はしているわけであります。
 そしてさらに、国土の開発の利用と廃棄物の問題、これは非常に深刻になっておりますけれども、規制を進める中で国民の消費、雇用を同時に促進をさせていくという考え方、二兎を追う者とよく言いますけれども、この際、この二兎を追える者は何なんだということもあろうかと思うんです。その辺について、ちょっと大臣の御所見をお聞かせください。
・国務大臣(鈴木俊一君)
 今日の厳しい経済状況下にあるわけでありますけれども、しかし、環境問題、それに環境を守るためのいろいろな制約、そういうものを経済活動に対する制約と見るのではなしに、むしろそれを一つの新しい成長要因としてとらえるべきだと、前向きにとらえるべきだと、私も山下先生の御意見のとおり、そういうふうに思うわけであります。
 例えば、日本では、現実の話といたしまして世界で最も厳しい自動車の排出ガス規制がございました。これは産業界大変だということでありましたけれども、結果においてそこに技術革新が生まれて、そして新たなマーケット、新たな雇用というものが生まれてきたわけであります。また、太陽光発電などについても同様のことが言える。いずれの低公害車、太陽光発電にしても、日本の技術といいますものはこれまで世界でも一、二を争う、そういう環境の制約の中で逆に技術革新と新たな産業の発展が生まれたという、そういう実例もあるわけでありまして、そういう面を育てていく努力というものが必要であると思います。
 山下先生から特にナノテクノロジーのお話がございましたが、こうしたナノテクノロジーを始めとする技術革新の促進等を今後とも環境省としても努力をして、これは環境省だけででき得ないものもございますので、関係省庁とも連携しつつ、環境省がリーダーシップを持つ努力をしながらこうした環境技術開発にも努めてまいりたいと考えております。
・山下英利君
 ありがとうございました。
 今の大臣の御説明で、その先へこれからいろいろな質疑という形も取らせていただけるのかなと、そのように思っておるんですけれども。
 一昨日のごあいさつの中で、経済の制約要因じゃなくて新たな成長要因であると、私はここのところに非常に重点を置いた施策というのも望まれるんではないかなと。そして、環境を配慮することにインセンティブというのが働く経済社会ということは、やはり環境というものが一つの経済の大きな構成要素になるというふうな確立を目指さなければいけないと、私はそのように思っておる次第であります。そして、デフレ圧力にならない環境対策というのもありますけれども、デフレを阻止する環境対策、これを何とか、今デフレ対策いろいろ言われておりますけれども、あの中にも大きく踏み込んでいただきたいなと、そのように思うわけであります。
 それで、次の質問なんでございますけれども、実は私、滋賀県の、琵琶湖のある滋賀県の選出であります。滋賀県では最近、県条例として琵琶湖の水質保全のために一つの条例を制定をいたしました。内容を大まかに言いますと、水質の汚染を止めるための、いわゆるレジャーボートですね、レジャーボートの規格を決めると。要するに、排出ガスの規制をするために、例えばツーサイクルエンジンの場合には燃費効率も良くないということで四サイクルにしなさいとか、もう一つは、元々琵琶湖にいたフナとかアユ、タナゴ、モロコといった在来種がやはり随分減ってきていると。それの大きな要因と言われているのがブラックバス、それからブルーギルといった外来魚、これによって稚魚が駆逐をされてしまうと、そういうようなところから条例を定めたものであります。
 定めたものでありますけれども、滋賀県というのはやはり琵琶湖というのが大きな財産であり、かつ近畿圏の水がめということでの責任もありますけれども、一方では、やはりレジャーという一つの観光産業、こういった側面からもやっぱり人に来てほしいと。その中で、要するにブラックバスは釣りという側面からすると大変、いわゆる他県から来ていただく方が多いと。ですから、この条例を決める場合でも、やはりそこは環境対策とそれからやっぱり経済的な側面というものの両方をやっぱり考えながら進めていかなければいけないということを正に現場で感じていたというところが県の状況でございまして、私もそこに、その話を聞いて本当に環境と経済を両立させていく、これの難しさといいますかその困難にやはりもう一回立ち向かっていかなければいけないんだなと、そういうふうに痛感をしている次第であります。
 実は、こういった環境の問題を、対策を進めていく上では、先ほど大臣がおっしゃったように、他省庁との連携が大変大事になってくると。その連携を取って河川、それから土地、それから水と、そういったところへ総合的な対策を講じていくという中にありまして、行政の組織として、先ほど環境のリーダーシップというお話もございましたけれども、具体的に環境省がこれから行っていく役割、これをお示しいただけますでしょうか。
・国務大臣(鈴木俊一君)
 環境行政を進める上で各関係省庁とのかかわりのある分野というものはたくさんございます。そういうことに対して環境省としてやはり言うべきことをしっかりと言っていくという姿勢が常に必要ではないかと、そういうふうに思っているところであります。
 先般、沖縄の泡瀬干潟の工事について、これは内閣府が行うものでありますけれども、海上工事が始まったという一つの節目をとらまえまして、これは異例だという評価もあるわけでございますけれども、環境省として内閣府に対して環境アセスメントで守るべき環境保全の措置ということが示されているんで、それをきちっと守るように、例えばそれを守るためには具体的な計画をきちっと示してほしいとか、そういうことを言わせてもらったことがございます。
 そういうような、他省庁に対して、他省庁の事業でも環境省として言うべきことは言っていくという姿勢を持ちながらこれからも努力してまいりたいと思います。
・山下英利君
 どうもありがとうございました。
 今回、この環境委員会においてそういった、一つでも前に進める施策を実現させていただきますように心からお願いを申し上げまして私の質問を終わらせていただきます。
 本日はありがとうございました




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