・議長(倉田寛之君)
保険業法の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
“異議なし”
御異議ないと認めます。竹中金融担当大臣。 |
・国務大臣(竹中平蔵君)
ただいま議題となりました保険業法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
我が国の生命保険を取り巻く環境は、保有契約高の減少や株価の低迷等に加え、超低金利の継続によるいわゆる逆ざや問題により、一層厳しいものとなっております。
こうした中で、これまでも生命保険契約者保護のための資金援助制度の整備や保険会社の経営手段の多様化等を図るための措置を講じてきたところですが、今般、保険業の継続が困難となる蓋然性のある保険会社について、保険契約者等の保護の観点から、契約条件の変更を可能とする手続等の整備を行うため、この法律案を提出することとした次第であります。
以下、その大要を申し上げます。
第一に、保険業の継続が困難となる蓋然性のある保険会社については契約条件の変更の申出を行うことができることとするとともに、契約条件の変更を行うための手続として、株主総会等の特別決議のほか、異議申立て手続等を行うこととしております。
第二に、契約条件の変更に当たっては、保険契約者等に対し、契約条件の変更がやむを得ない理由、契約条件の変更の内容、契約条件の変更後の業務及び財産の状況の予測に加え、基金及び保険契約者等以外の債権者に対する債務の取扱いに関する事項、経営責任に関する事項等を示さなければならないこととしております。
第三に、契約条件の変更は、それまで積み立ててきた責任準備金に対応する権利に影響を及ぼしてはならないこととするとともに、変更後の予定利率は、保険会社の資産の運用の状況その他の事情を勘案して政令で定める水準を下回ってはならないこととしております。
第四に、内閣総理大臣は、契約条件の変更の申出の承認を行うとともに、必要に応じ保険調査人に契約条件の変更の内容等について調査させた上で、当該保険会社において保険業の継続のために必要な措置が講じられた場合であって、かつ、契約条件の変更が保険契約者等の保護の見地から適当であると認められる場合でなければ、契約条件の変更案の承認をしてはならないこととしております。
第五に、基金に係る債務の免除を受けたとき等の基金及び基金償却積立金の取扱いについて規定の整備を行うなど、所要の措置を講ずることとしております。
以上、保険業法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を申し上げた次第であります。
何とぞ、御審議のほど、よろしくお願いを申し上げます。 |
・議長(倉田寛之君)
ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。山下英利君。 |
・山下英利君
私は、自由民主党・保守新党、公明党を代表して、ただいま議題となりました保険業法の一部を改正する法律案につきまして、竹中金融担当大臣に質問をいたします。
生命保険は、改めて言うまでもなく、人の生死や疾病などの様々な危険に備え、国民が自助努力によってその生活基盤を守るための重要な仕組みとしての役割を担っております。今後の高齢化社会においては、年金とともにますます重要な機能を果たすものと考えます。
そうした中で、バブル崩壊以降、我が国経済は低迷状態から脱せず、世界でも例を見ない超低金利状態が続いております。こうした超低金利の影響を受けているものの一つに生命保険会社があります。
生命保険会社は極めて長期の保険契約を多く抱えており、その多くを国債や株式など有価証券で運用をしております。超低金利の長期化に加え、株価や地価の下落という資産デフレにより、保険会社が保険契約者に約束した予定利率と実際の運用利回りとの間に乖離が生じ、いわゆる逆ざやが構造的な問題となってきております。さらに、保有契約高は減少傾向にあり、生命保険会社の経営環境は極めて厳しいものになっていると考えております。
そこで、まず、生命保険会社をめぐる経済金融環境をどのように認識されているのか、そうした環境の中で生命保険会社の経営状況をどのように認識されているのか、見解を伺います。
さて、具体的に生命保険会社の予定利率引下げのスキームに関してお伺いいたします。
生命保険会社は、経営の健全性の確保、経営の再建に向けて、自らの努力でそのために取り組むことは当然のことであります。しかし、その努力によっても保険業の継続が困難となる蓋然性がある場合、保険会社から契約条件変更の申出があり、行政当局は適当であると認めれば承認する仕組みとなっております。
問題は、当局の承認の際に、経営努力の限界をどのように判断し、また経営者責任を明確にしつつ保険契約者の理解を得ていくかであります。申出を受けての承認に当たり、どのような基本姿勢で臨まれるのかをお伺いいたします。
ぎりぎりまでの経営努力を怠っている保険会社を承認するようなことが決してないよう、お願いもいたしておきます。
また、今回のスキームの中で、予定利率の引下げといった契約の変更に関して、保険契約者に異議申立ての機会が与えられています。これは、契約者の十分な理解と納得を前提とした手続の円滑化を目指したものと考えます。
しかしながら、仮に十分の一以上の契約者から異議が申し出された場合、引下げは否認されることになりますが、そうなると、保険会社は契約の解約が相次ぎ、経営破綻に追い込まれる事態も想定されます。そうした事態を招くことがないよう、保険会社も行政当局も最善の努力をしておかなければなりません。具体的にどのような行政努力をなされるお考えなのか、お伺いいたします。
少し先の将来を考えますと、景気が好転し金利が上昇する、また株価もしっかりとした回復過程に入ってくる、こういったことが十分に予想されるわけであります。こうした場合には、予定利率を引き下げた保険契約者に対して、優先的に配当を行ったり予定利率を再び引き上げるといった対応も行うべきであると考えております。
今回の法案において、こうした観点から配慮がなされているとのことですが、法案での表現が分かりにくいものとなっているという指摘がございます。将来、情勢が好転した場合、契約者に利益を還元するに当たっての考え方、またそのことが法案の文面の中でどのように担保されているのか、分かりやすい説明を求めます。
今回のスキームに限らず、保険会社は本来あるべき経営姿勢として、保険契約者に対して保険会社の経営内容や収支見通しについて十分な情報開示、ディスクロージャーを行うことが必要であると考えます。また、政府においても、総理以下関係者が国民にこのスキームの真の意義と内容をしっかり説明することが最も重要であり、これらが確保されて初めて今回のスキームが有効に機能し、また国民の生命保険に対する安心、信頼、これも回復するのではないかと思います。保険会社のディスクロージャーと政府の国民に対する説明責任の重要性について見解を伺います。
最後に、今回のスキームは個別の保険会社の申請により行うものであるため、各社は解約の増加や新規契約の減少を恐れて実際には使われないとの指摘もあります。保険会社の利用が進むよう、制度運用をしっかり行っていかなければなりません。
我が国では約九割の世帯が生命保険会社に加入しております。その多くが生命保険が経営難の状態にあることを不安に思っており、今回の措置により生命保険がうまく機能し老後の不安が緩和するよう願ってもおります。今後、生命保険に対する国民の信頼が更に向上するよう、その根本原因である景気を一刻も早く立ち直らせる経済政策を進めるとともに、この制度を的確に運用されることを政府に要望し、私の質問を終わらせていただきます。 |
・国務大臣(竹中平蔵君)
山下議員から五問の質問をいただきました。
まず、生命保険会社の経営状況等についてどのように認識するかというお尋ねでございます。
生命保険会社を取り巻く経営環境は、議員も御指摘になりましたように、超低金利の継続による逆ざやのほか、保有契約高の減少、株価の下落等によりまして、引き続き厳しい状況にあると考えております。こうした中で、生命保険会社は、経費削減でありますとか合併、再編等の経営努力を積み重ねており、金融庁としても、今後とも各生命保険会社に対して健全性の確保に向けて懸命の経営努力を促してまいりたいというふうに考えております。
契約条件変更の申出の承認についてお尋ねがございました。
この契約条件変更の申出に当たりまして、保険会社は、まず第一に、契約条件の変更を行わなければ他の経営努力を行っても保険業の継続が困難となる蓋然性があること、第二に、保険契約者等の保護のため契約条件の変更がやむを得ない理由を示すこととなっております。行政当局は、この承認に当たりまして、保険契約者等の保護の観点から、他の経営改善努力の内容も含めてしっかりと審査をするということにしております。
また、経営責任につきましては、自治的な手続の中で適切に対応が図られるよう、法案におきましては保険会社が保険契約者に対してその考え方を明示しなければならないこととしております。行政当局としても、契約条件の変更案の承認に際して、この点を含めしっかりと審査するつもりでございます。
保険契約者の理解を得るための行政当局等の努力についてお尋ねがありました。
予定利率の引下げに当たりましては、まずは、保険会社において保険契約者の理解が十分得られますように努めることが重要でありますけれども、当局としても、保険契約者等の保護の観点から、契約条件の変更の内容等を十分審査する必要がございます。さらに、当局としては、この制度の意義、内容等について保険契約者等の十分な理解が得られるように努めますとともに、保険会社の監督に当たっても風評リスクが生じないよう万全を期してまいりたいというふうに考えております。
将来、仮に情勢が好転した場合に、保険契約者への利益の還元をどうするのかというお尋ねがございました。
この予定利率引下げの対象となった保険契約者に対して利益を還元しますことについては、自治手続の中で適切に対応がなされるべきものと考えております。
この法案においては、例えば優先配当等を行う場合には、保険契約者等に対しその方針を明示するとともに、その方針を定款に記載することを義務付けることとしておりまして、その方針の明確化を図るというふうに仕組んでおります。
第五に、保険会社のディスクロージャー及び政府の説明責任の重要性についてお尋ねがございました。
大変重要な点だと我々も考えております。生命保険会社の財務状況に関するディスクロージャーの充実は、これは重要であるという観点からその強化を図っているところでございます。金融庁としては、今後とも、幅広く分かりやすいディスクロージャーが行われますように、引き続き保険会社に対して主体的、積極的な取組を求めてまいりたいと考えております。
なお、契約条件変更の制度は、これは保険会社・保険契約者間の自治的な手続であるということを踏まえれば、保険会社は自ら保険契約者に対して幅広いこれはディスクロージャーを行うこととなると考えております。また、政府としても、制度の意義、内容等について十分な理解が得られるよう努めてまいります。
最後に、山下議員御指摘の経済全体の運営についても努力をしたいと思っております。
ありがとうございます。 |