議 事 録


■第162回国会 参議院財政金融委員会 (平成17年4月21日)


○委員長(浅尾慶一郎君) 保険業法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○山下英利君 自由民主党の山下でございます。トップバッターとして、既に趣旨説明いただきました保険業法等の一部改正に関する法律案の質問に立たせていただきます。
 今回こういった形で、今までずっと保険業法、平成十年以来、度々改正がされてまいりました。保険というのは将来に対する安心、言ってみれば生活に対する安心という位置付けが国民の間でも根付いているものであります。また、同時に、今回改正の主たるポイントになっておりますいわゆる無認可共済、この問題につきましても、やはり共済というのも、これまたお互いに助け合うという語源から出てきている言葉のとおり、やはりその将来に対する、そうした生活に対する安心をお互いに助け合っていこうという性質のものであります。ところが、この無認可共済という問題が大変議論されるようになったのも、一つにはそういったところが野放しになっている状態であったと。実際、根拠法がない、あるいはそれをしっかりと見ていく監督責任もないと。
 そういう状況の中で、いわゆる保険契約者によるトラブル、いわゆる共済のトラブルというのがかなり出てまいりました。そして、一方では、その共済という名をかりて半ばマルチ商法まがいのような、拡販といいますか、販売が行われ、それが言ってみれば詐欺罪といいますか、一般の理解していない契約者においては大変な被害を被っているというふうな状況が出てきたからこそ今回の改正に結び付いたんだと言えないこともないと、そういうふうに思っておる次第でございます。
 そして、ですから冒頭にまずお聞きをしたいのは、このいわゆる言われているような共済のトラブルとしてこれまでに警察が関与した状況というのがあるのかないのか、いわゆる刑事事件となった例があるのか、あるいはそういったときに対する警察庁としての対応というのについて、まず警察庁の方から状況を御報告いただきたいと思います。
○政府参考人(伊藤哲朗君) お答えいたします。
 いわゆる無認可共済を保険業法違反で検挙した事例は過去五年間報告は受けておりませんけれども、年金会オレンジ共済のように共済の名の付いた団体について詐欺罪で検挙した事例は過去にございます。
○山下英利君 今回、この法律の改正によって、いわゆるそういった潜りといいますか、非常に犯罪に結び付きやすい事例というものを事前にチェックし、そして抑えることができるというふうに私も理解をしているところなんですが、これは金融審で「根拠法のない共済への対応について」という議論を踏まえているところでありますけれども、今後のこのトラブルの解消、未然防止について、金融庁の方、具体的に例えば募集規制であるとかあるいはディスクロージャーの義務等につきましての御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(増井喜一郎君) お答え申し上げます。
 今回の改正案でございますけれども、まず保険業法の適用範囲を契約相手方の特定、不特定で区別する従来の仕組みを改めまして、保険の引受けを行う事業について原則として保険業法の規定を適用するということにいたしました。ただ、保険業法の規定を適用する必要がない団体につきましては個別に法令で規定をいたしまして、更に保険業法の中に少額短期保険業者という範疇を設けまして、これを登録制という形で、登録制を導入することによりまして規制を行いたいというふうに思っておるわけでございます。
 その規制の中には、先生今御指摘がございましたような説明義務だとか、あるいはいろんな形での行為規制、財産的な規制、そういったことを掛けまして、従来の保険会社に対する規制よりは若干緩い規制でございますけれども、少額短期という形の商品を売るという、そういう保険業者に対しましてそういう形での規制を掛けようということでございます。
 また、現在、いわゆる根拠法のない共済という形で現実に事業を行っている既存業者がございます。こちらの方は、今申し上げました保険業かあるいは少額短期保険業者、これに該当する事業を継続する場合には、この法案の施行から六か月以内に行政庁への事業継続を行っている旨の届出を求めることにいたしております。
 そういった措置を講じた上で、さらに、仮にこの法律が通った後、施行された後、登録を受けずに少額短期保険業を行っている者、あるいは既存業者で先ほどの届出を行わないで事業を行っている者、こういった者に対しましては法律上罰則規定を設けておりまして、金融庁といたしましては、仮にこういった無登録や無届けで少額短期保険業を行っている事例がございますれば、捜査当局に情報を提供するなど厳正に対応を行ってまいりたいというふうに思っているわけでございます。
 いずれにいたしましても、この法案が成立した場合には、改正法の施行に必要な政令、府令を速やかに策定するとともに、共済団体の契約者や新たに登録が必要となる事業者等に、ホームページあるいは政府広報の活用、関係機関との連絡、連携などによりまして法改正の内容等を広く周知徹底いたしまして、契約者保護や移行の円滑化に努めてまいりたいというふうに考えております。
○山下英利君 言ってみれば、この契約者に対してちゃんときちんとした説明をさせる、あるいはそういった募集する共済の財務状況等をきちんと公開させる、こういった規定というのは、これはこれで当たり前のことでありますから、そこのところをしっかり押さえていかなければいけないというふうに私は思うわけですけれども、実際に、既に制度共済につきましては、監督官庁あるいは自治体、ここはきちっとやっているという前提の下に、今後、いわゆる金融庁が管轄するというこの無認可、今まで言われた、無認可共済と言われるそういう組織体に対する検査体制を含めた管理をきちっとやっていっていただきたいと、そういうふうに思うわけですけれども。
 今回、この法案を作成するに当たっていろいろその団体をお調べになったと聞いております。だけれども、実態はなかなかつかみにくいというふうなことも伺っております。その辺の状況はいかがでした。
○政府参考人(増井喜一郎君) 先生御指摘のように、これまでいわゆる根拠法のない共済というのは監督官庁がない状態で事業が行われておりました。したがいまして、私どもも実態をすべて把握するというのはなかなか難しい状況にございましたが、昨年総務省の方で相当時間を掛けてきちんと調査をしていただきました。昨年の、十六年の四月から十月にかけまして総務省で調査をしていただきまして、その中でいろんな形で共済事業等をやっておられると思われる事業者に直接当たっていただいたりして把握をしていただいたわけでございます。
 それによりますと、任意団体などでいわゆる根拠法のない共済という、こういった事業をやっている共済が全体で四百二十二団体把握をされたようでございます。しかしながら、実際にこれを当たってみますと、例えば実際には共済を実施していなかったとか、あるいはもう既に休廃止をしているとか、あるいは行っても調査への協力を得られないといったような団体も二百五十六、四百二十二のうち二百五十六団体ございまして、実際に実地調査ができた団体が百六十六団体ということでございました。
 そういった団体に調査をしていただいて、いろんな調査結果が出てまいりましたので、そういったことを踏まえまして、私ども今回の制度改正を行ったものでございます。
○山下英利君 したがって、この法律ができる前であれば、やっぱりそこは任意の状況というのが否めないのでなかなか分からなかったという部分もあるかと思います。したがって、この法律がもし成立しまして施行されたら、そこのところ、実態をきちんと把握をして、それを改めてまた教えていただけるようにお願いをしたいと、そういうふうに思います。
 そして、やはり今まで全く見る人間がいなかったと、見る者がいなかったというような状況から、これから新しく見るんだというところのやっぱりスタートアップというのは非常に大事であります。そして、それが、これまで聞かれているように、いわゆる犯罪に結び付くようなそういった共済のトラブルというものに対して、これから関係の省庁、きちっと連携を取っていただいて、そして実態把握に努めると同時に、それを未然にやはりそういったトラブルを解消するという努力をしていただかなければいけないんじゃないかなと私は思っております。したがって、特に犯罪につながりそうなそういったケースを連想いたしますと、このトラブルに対して金融庁と警察庁がどういう形で連携を取っていくのか。
 先ほどちょっと申し上げたように、実態把握がなかなかできないというふうな状況の中で、やはり情報収集に努める場合のその具体的な対応、考え方についてちょっとお聞かせください。これは警察庁の方と金融庁の方、両方お聞かせください。
○政府参考人(伊藤哲朗君) 警察庁といたしましては、法改正の趣旨を踏まえまして、金融庁を始め、関係機関との連携を図っていくことが大変重要であるというふうに考えております。
 今後は新しい法改正の趣旨を踏まえまして、刑罰法令に触れる行為がございましたら、法と証拠に基づいて厳正に対処するよう都道府県警察を指導してまいりたいと考えているところでございます。

○国務大臣(伊藤達也君) 今委員が御指摘がありましたように、関係省庁との連携というのは極めて重要でありますし、そしてトラブルを未然に防止をしていくと、このこともとても大切なことだというふうに思っております。
 今まで金融庁といたしましても、保険業法に抵触する疑いのある者につきましては捜査当局に情報提供を行うなど、連携に努めてきたところでありますが、今回の法改正の趣旨というものを十分に踏まえて、より一層捜査当局との連携強化を図っていきたいと考えております。
○山下英利君 よろしくお願いしたいと思います。
 そして、先ほどの検査体制ということも含めたこれからのいわゆる規制といいますか監督、これについて私からももう一度お願いしたいと思っているのは、今回の規定では、ガバナンス規定が整備されている株式会社、相互会社がいわゆる少額保険会社の特例を受けられるというふうに書いてあります。それだけで本当に大丈夫なのかどうかという部分が私もちょっと懸念として残っている部分であります。したがって、その少額短期保険会社の特例というものが今回用意されているわけですから、この特例をやっぱり悪用されないように努めていただかなければいけないと、このことを金融庁にもしっかり申し上げておきたいなと、そのように思います。
 そして、やはり共済、いわゆる共済と保険の違いというものを考えたときに、共済は元々力合わせて助け合うという意味ですから、これはごく限られた人と人の間でのいわゆる掛金積んでやっていく、保険の場合にはこれは不特定多数と。そのような位置付けがされて、結果、効力においては同じであるけれども、その入口のところは違うんだと、そういう意味合いがありました。
 したがって、大事なことは、今の保険業法の中で募集の対象者の選別、線引きですね、これをきちっと管理監督していって、いわゆる共済と保険というものの色分けというものをやっぱり付けなければ、十把一からげに監督するというのは非常に難しいのではないかと思うんですけれども、金融庁はどう考えていらっしゃいますか。
○大臣政務官(西銘順志郎君) 今、山下先生おっしゃったとおり、共済と保険業、これは、先生おっしゃったとおり、特定の者を相手方として保険の引受けを行うのが共済でございます。不特定の者を相手方として保険の引受けを行うのが保険業と、明確に区分をした上で、従来の保険業法では、先ほど申し上げましたように、後者のみを適用対象としてきたところでございます。
 今回の改正案では、近年の共済事業の多様化等により両者を区分することが非常に難しくなっている現状を踏まえまして、保険の引受けを行う団体には原則として保険業法を適用することとした上で、保険業法の適用除外となる団体、いわゆる制度共済、契約者の自己責任を問うことが可能な団体を個別に法令で列挙することとしております。
○山下英利君 保険業業界というのは大変ビジネスモデルが変化している業界であります。それと同時に、やはり仲間内で助け合っていた時代から、市場というものを通す、そういう形の中にあって、ビジネスモデルの変化にしっかりと対応した制度構築をしていかないと、やはりトラブルは未然に防止する、あるいは解消することは非常に難しいと思いますので、やはり引き続き、金融再生も正に今までの危機管理の方からやっぱり今度再生の方へプログラムも変わると。保険も今まで順次変えていった段階というものを、やはりそのときの環境に合わせた制度改正というものをしっかりやっていかなきゃいけない、しかもそれが後手に回ってはいけないということを改めてお願いを申し上げて、次の質問に移らさしていただきます。
 したがって、今回、もう一つの主眼であります保険のセーフティーネットについて、今回の法律案では新たな改正が行われているところであります。平成十年に保険契約者保護機構が創設されまして、平成十二年、十五年といわゆる保険業法改正によってセーフティーネットの整備、これを順次進められてきているところでありますけれども、この間、保険のビジネスモデルも先ほど申し上げたように随分変化してきていると思いますけれども、危機的な状況と言われていた生保業界、今どのような状況になっておりますでしょうか。金融庁の方から概略を御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(佐藤隆文君) 生命保険会社の経営状況でございますけれども、御指摘いただきましたように、一方では逆ざやという問題が存在しているというのも事実でございます。また、近年の生命保険市場の成熟であるとか、あるいは保険に対するニーズというのが、例えば生命保険であれば死亡保障から生存保障へシフトするとか、あるいは多様な経済活動に伴うリスクに対する保障ニーズというのが出てきているということで、言わば構造変化が起きているというのが一つの状況かと思います。
 ただ、他方で、全体として見ますと、保険業の全体の財務の状況というのは改善のトレンドの上にあるというふうに認識をいたしております。
 保険の本業の利益でございます基礎利益でございますけれども、事業費削減であるとか、あるいは第三分野への取組の強化といった新しい収益源の確保等によりまして、逆ざやを補った上でなお二兆円規模の大幅な黒字を計上しているという状況にございます。また、保険会社の健全性の典型的な指標でございますソルベンシーマージン比率でございますけれども、これも全体として見ますと改善傾向にあるということでございます。
 それから、更に申し上げますと、株価変動のリスクというものにこれまで直面してきているわけでございますけれども、一方で、株式の売却を進めるといったようなことで株価変動リスクに対する対応力というのも増してきているということで、ここのところ株式市況が大きな流れで見ると回復してきたということもございまして、例えば株式の含み損益で見ますと、平成十四年度末で四千八十九億円の含み損であったものが、直近の十六年九月期には四兆八千七百億円の含み益を計上すると、こんな状況になっているということでございます。
○山下英利君 大分良くなってまいりましたですね。一時期、生保業界、大変な、合従連衡も必要であるし、破綻も起きていたという状況から考えますと、大分好転はしてきています。
 好転をしてきている中で、やはりこのセーフティーネットの在り方、これをどう考えるのかという点について私はお聞きをしたいと思うんですけれども、平成十五年に予定利率の引下げの手続が導入できるというふうなことを、保険業法の改正を行ったわけであります。
 金融庁にもう一度お尋ねをします。この予定利率引下げ手続ができるようになってから実際に実施した保険会社、ございますか。状況をお聞かせください。
○政府参考人(佐藤隆文君) 実施した保険会社はございません。
○山下英利君 正にこれはセーフティーネットだということだと思います。そして、やはり予定利率の引下げをするということは、これは元々契約をした契約を一方的に変更するというようなことで、契約者にとっては不公平感にもつながるというふうな見方があるところでございます。
 今回のこの保険業法の改正においては、これは直接の利率変更だけではなくて、実際に保険会社が破綻した場合にその補償料率を変更しますと。したがって、高い契約の保険者に対する補償率、これは引下げ、従来九〇%から引下げをしますよと。実際その保険会社が破綻しなければこれは直接は掛かってきませんけれども、言ってみれば、前回は保険料率の引下げという非常手段も認めましょうと、今回改めてその補償率まで実際破綻したときには引き下げましょうという手続になっているわけであります。
 先ほど御報告いただいたとおり、保険会社、大分好転をしてきております。その好転している中であえてこの補償料率というものを変えますよという理由と、それからもう一つは、今回、政府補助枠については従来のいわゆる民間枠プラス政府補助枠というところから民間枠だけにする、政府補助枠については取りあえずゼロにして、今後必要であれば予算措置によって行うというような変更になっているわけですけれども、先ほどの話も含めまして、今後のいわゆるそういった危機対応、要するに業界枠のバランスを含めた今後の危機対応というものについて金融庁の方のお考えをお聞かせください。
○副大臣(七条明君) 危機対応ということでございますが、今の制度との、さっき先生がちょっと申し上げておられた現行の制度の生命保険のセーフティーネット、これはもう時限措置で、業界が負担をするのが一千億円を超えた場合には四千億円の範囲内で政府補助を可能とする仕組みであったと。
 これが今回の改正案で、生命保険セーフティーネットの財源を、原則として生命保険契約者保護機構の借入限度枠、いわゆる四千六百億円の範囲内で業界の負担金によって賄うという仕組みでございますから、当然その借入限度額を超えた資金が必要となる場合には一定の要件の下で政府の補助を可能とする規定を、平成十八年から二十年までの三年間に限定をして、それを延長していくと。いわゆる先生が先ほど言われたということで、ここで三年間の限定の中で行っていくという仕組みでございます。
○国務大臣(伊藤達也君) 今副大臣からセーフティーネットについてお話があったわけでありますが、危機対応といいますか、私どもにとってやはり重要なことは危機を未然に防ぐということだろうというふうに思います。
 そうした観点からは、ソルベンシーマージン基準に基づく早期是正措置、これを導入をいたしまして、そしてその算定方法の見直しなど、より厳格な私どもとしてのチェックを行う枠組みというものを整備をしてきたところであります。このような枠組みの下で各生命保険会社の財務状況がチェックされることにより、問題の早期発見、そして早期対応というものが可能になりますので、危機的な事態というものを未然に回避していく、こういう仕組みが強化されたというふうに考えておりますから、こうした仕組みというものを私ども適切に活用して、そして危機というものを未然に防止をしていきたい、そのための適切な行政の対応というものを行っていきたいというふうに思っております。
○山下英利君 もう時間が来てしまいましたので最後にまとめさせていただきたいんですが。
 ですから、危機対応ということで万全の備えをしているというこの現状の状況の中で、やはり生保会社も好転をしてきていると。そういった中で、やはり今の危機対応の制度自体、これからどういうふうに緩和をしていくのか。あるいは、契約者に対してきちっとした説明責任をこれは生保会社にやってもらうということは大変大事であります。今回はそういった意味ではまだ実際保険料率を引き下げたという先はないということであります。ですけれども、それは将来的にはあり得るということをやはり保険契約者にも十分理解してもらわなきゃいけない。
 今の低金利の時代ですからいいんです。ただ、これが金利がずっと上がっていきますと、いわゆる基準金利として、五年間の平均で考える金利よりも実際の市場の金利が上がった場合に、例えば高い金利で契約をしたときには、あるいはこれが破綻したときには安い金利で、その基準金利で見直しになりますよというふうなことは、これは説明責任として十分顧客に説明をしておかなければやはり問題の解決にはならないと思いますので、よろしくお願いして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。





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