議 事 録


■第162回国会 参議院財政金融委員会 (平成17年3月15日)


○山下英利君 自由民主党の山下でございます。田村委員に引き続いて質問に立たせていただきます。
 財務大臣、本当にお疲れさまです。体調も相当厳しいようにお見受けいたしますけど、もう少しお付き合いを願いたいと思います。
 もう度々御説明をいろんな場でいただいておりますけれども、予算、正に入るを量りていずるを制すという中で、しっかりとめり張りを付けていかなければいけない。そんな中で、やはりダイエットというのも急激にやってしまうとこれは体を壊してしまう。あるいは、さっき田村委員から話があったようにリバウンドもあると。やはり持続可能な形でしっかりとやっていかなければいけない、これは私は原則じゃないかなと思います。
 今回の今議案になっております法案でありますけれども、そのいずるを制す、そういった反対の入るを量る部分における税制改正と、そしてその中でこの定率減税の縮減という大きなテーマが今回上ってきたわけであります。
 私、時間も限られておりますので率直にお聞きをしたいと思いますけれども、今回この税制の定率減税の縮減二分の一をやるということに対しまして、これは平成十八年に行われようとされている税制の抜本税制改革、これに先行して、まず、この定率減税の縮減がまず出てきてしまったのではないかと、そのような声も私聞いているわけであります。平成十一年度の税制改正大綱で、個人と法人の所得課税の、これは抜本的な見直しを行うまでの間、期限を定めずにという形のこれは定率減税でありました。したがって、やはり来年度、抜本的な改革をするということを前にまずこの縮減が半分行われたというところの理由について、大臣から、これは国民から見ても、やはりなぜこの定率減税の縮減が先に行くんだというふうな気持ちに対してちょっとお答えをいただきたいと思います。
 それと併せて、やはり今、国の予算、これを見ておりますと、社会保障費、年金、介護、福祉、これの、社会保障費の国庫負担分というものがやはり自然増だけでも毎年一兆円というふうな形で、これはほかの予算を圧縮して、それで社会保障に充てているというふうな形であっても、これは持続可能な形とは言えないわけであります。一方、税収を見ますと一般会計予算の半分程度で、残りは国債を発行しての借金です。
 ですから、先ほどの田村委員の言葉をかりるわけではないですが、民間でいえば赤字を借金で繰り回していると。だから、赤字がどんどんどんどんというか、借金がどんどんどんどん膨らんできている。正にその中の状況の中で、プライマリーバランスを、とにかく基礎的な財政収支を一日も早く黒字化しようという財政の規律を目指しているわけですから、この増大していく社会保障費全体に対するこれからの国庫負担のための財源というものについてのお考えをお聞きしたいと思います。
 と申しますのも、消費税の位置付けというのをどう考えていくべきなんだろうかと。抜本的な税制改正の中で、やはり従来から言われている直間比率の見直し、こういったことも是非含めていただきたいというふうに思う中で、今基幹税の一つになっている消費税、これがやはりこれからのこの社会保障という部分における重要な財源であるというふうな色付けを付けていくのか、あるいは一般財源の中で繰り回すということを基本線に考えていかれるのか、その辺のところの大臣のお考え方、これをお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) まず、定率減税、所得税の抜本改革の前に定率減税の縮減に取り組んだのはなぜかということでございます。
 これも先ほど一部は峰崎委員の御質問でも申し上げたところでございますが、恒久的減税法というものが小渕内閣のときできましてから、やはり将来、所得課税、所得税について抜本的な改革、あるべき所得税体系とは何なんだということを考えなきゃいけないという問題意識は私どもずっと持っていたわけですが、そういう流れの中で、配偶者特別控除の上乗せ部分の廃止であるとか、あるいはこれは昨年、昨年と申しますか平成十六年度、今年度でございますけれども、年金税制の見直しというものをやってまいりましたが、御承知のように、三位一体の改革でこれは基幹税でやろうということになりまして、所得税から地方住民税への形でやっていこうと、こういうことになりまして、いよいよその所得税体系の、そういうことになると、三兆円の税源移譲という規模を考えますと、それはどうしても所得税体系の抜本的な見直しを頭に入れてやらなきゃいけないということになってきたわけでございます。
 それで、そういうことを考えますと、やはり三位一体というようなことを推し進めますと、どうしても自治体間の財政力の差というものがあらわになってくる面があるわけですから、それをこの税の体系の中でどう見直していくかというようなことになりますと、これはもう麻生大臣が一生懸命これお取り組みになるところでございますが、地方住民税に関して、個人住民税所得割の税率のフラット化等々、応益課税である本質に応じたことをやって、そういうことに相即したものにしていこうという方向を私どもは明らかにしているわけでございまして、そういうことになると、これは今朝方の峰崎委員との御議論でもありますが、所得税については所得再分配機能といったようなものももう一回頭に入れながら仕組んでいく必要があるんじゃないかというのが三位一体ということであらあら出てまいりました。
 そうなると、その前提として、やはり定率減税というもので一律二〇%カットして、所得税の言わば基幹税としての機能も薄くなっているわけでございますから、そこでやっぱり入れ込んでいく必要があると。ただ、これはいろいろ御議論でございますけれども、一発で、じゃ平成十八年度でそれをやるからばあんと一発でぶつけるということになると、これはやっぱりいろいろ議論が、経済に与える影響というのを考えざるを得ないなと。そうすると、やっぱり段階的にやることかなというような流れの中から平成十七年度に定率減税の縮減をお願いするという発想が出てきたわけでございます。
 もう一つは、そうはいうけれども、まだまだ社会保障というものが非常に大きなものとして、そこをきちっとやっていくためにはどうしたらいいんだという御議論でございますね。
 これは、当然、今も進めております社会保障全体の見直しというものが、一体化した見直しが必要でございますし、私の言葉で言えば、それは身の丈、国民経済の身の丈に合ったものでなくてはいけないだろうし、それから公助と自助の線引きということも必要だろうし、あるいは、先ほども、今朝方も山口委員とも議論をしたわけですけれども、意識改革みたいなものも必要じゃないかと。しかし、そうやってどうしても必要な社会福祉の公共サービスというものを見ていったときに、やっぱりこれだけ自然増もある中、どう見直していっても、やっぱりそれを公平に負担していただくにはどうするかということになると、私はそれは消費税の議論にならざるを得ないだろうというふうに考えているわけでございます。
 そこで、山下委員のお尋ねは、それは、じゃ社会保障に特化した言わば目的税みたいなものにしていくのか、それとも一般的な税と、一般財源として考えていくのかということでございますけれども、ここはまだ議論が十分ではございません。私は、どちらかというと、消費税というものは非常に我が国の税制の基幹的な税制でございますから、特定財源とか目的税化していってしまうよりも一般財源として使っていった方が考え方としてはずっとすっきりしているし、将来もいいんじゃないかと、私個人はそのように思っております。
 ただ、やはり、恐らく、その社会保障の負担は何なんだと、それを税である程度お願いしようということになりますと、やっぱり何でこういう負担が必要なんだということを納税者に納得していただかなきゃいけない。そういう観点からすると、社会保障とその税との関係、社会保障と消費税との関係というのを分かりやすいように説明していく必要があるんではないかと。そこら辺りのところは実はまだ考えが十分に整理できていないところでございます。
○山下英利君 大臣のおっしゃるとおりだと思います。
 やはり、これからの税の議論をするときに、納税者が本当に理解をして、そして、やはり厳しいけれどもこれはやろうという気持ちになってくれるような税制であり予算編成だと、これが正に必要だと思います。政府は、行政改革、財政改革、行財政併せて今取り組んでおられるわけですから、ましてや、財政改革をやったときに、行政改革との関係でどのように変わってくるのかというのがやはり見えてこないと、なかなか、どちらか片方というところだけに突出しては理解が得られないんではないかなと。非常に厳しい中での財政運営をされているということが実態だと私は理解をいたしております。
 そこで、改めてお聞きを申し上げたいんですが、今ようやく景気が戻ってきたと申しますか、まだまだ踊り場というふうなことにある中で、今回これ、税制改正、今度特にこの定率減税の縮減という話が出てきたわけですけれども、やはり景気を支える大きな力として個人消費があるわけです。企業収益は空前の収益を上げるまでになってきたと言われている中で、なかなか個人所得のこれは増加にはつながっていないんではないかという認識が私はございます。
 したがいまして、定率減税縮減によって個人の負担増が踊り場にある景気にどのような影響を及ぼすのか、そういったところをしっかり見ながら今回のこの法案についての御検討をいただいたという意味を含めて、上田副大臣、ちょっと御説明をいただきたいと思います。
○副大臣(上田勇君) お答えいたします。
 定率減税が導入をされたときと今現在との経済状況の差というのは、先ほど谷垣大臣の方からも御説明がありましたように、経済の体質強化がかなり進んだということは事実だというふうに思っております。そして、そうした中で、今委員からもお話があったように、企業部門はここのところずっと継続をして、収益の改善、設備投資の増加など、依然として非常に好調が続いておりまして、一方、家計部門についてはこれは波及が遅れてきたというのがこれまでのところでございます。
 ただ、その家計部門に関しても、ここ非常に直近のところを見てみますと、有効求人倍率の上昇とともに、失業率が十年来初めて趨勢的に低下するなどといった雇用環境が非常に改善が進みまして、昨年十月―十二月期の雇用者報酬、これも様々な要因もありますけれどもプラスになり、また一月の家計調査の実質消費支出もプラスになっております。こういうことから、企業部門の改善が家計部門に波及するような動きも一部に見られてきているというふうに考えておりまして、大局的に見れば、今年若干、今踊り場という状況にありますが、緩やかな回復傾向が続いていくものではないかというふうに考えております。
 定率減税の見直しに当たっては、先ほど大臣がおっしゃいましたように、一度に全部ということになりますと、やはりこれは相当な影響が出るということから、十八年一月から所得税、そしてさらに、個人住民税については更にまたラップを、期間を置きまして、六月からそれぞれ半減するということにしておりまして、一度に過度な負担が生じないように配慮したところでございます。
 平成十七年度の増収額、これは十八年一月以降でありますので一千八百五十億円ということでございますが、これは全体、この定率減税も含めてほかの、定率減税の縮減のほかの税制改正などを含めますと、平成十七年度で約一千七百億円弱の増収、増税ということになるんではないかというふうに考えておりまして、現在のその経済の趨勢を見てみますと、定率減税の縮減を含む経済運営を前提としましても、今後とも景気回復が雇用・所得環境の改善を通じて家計部門へ波及する動きが強まって消費が着実に増加するのではないかというふうに考えておりまして、引き続き民間需要中心の緩やかな回復を続けるのではないかというふうに見込んでいるところでございます。
 引き続き、また、この定率減税の部分だけをとらえて、それが経済全体に対する影響ということだけではなくて、これは税制、また歳出も含めて総合的にいろいろと考えていかなければいけないことだというふうに思っております。
○山下英利君 ありがとうございました。
 二〇一〇年代初頭にプライマリーバランスを何とか黒字にしようという大きな目標というのは、これはもう最低限の目標だというふうに私も理解をしています。
 と申しますのも、引き続き国は大きな借金を毎年しているわけであります。ただ、その中で、やはり一般会計に対して大体半分ぐらいが税収、それで半分弱。今年度は昨年度と公債の発行額は同水準というところに抑えられたという御努力、これは先ほど申したダイエットの、一歩一歩着実にという御努力だと思っておりますけれども、引き続き、やはり大きな借金を国が抱えていくという中にあって、私は、この日本の国債の管理政策というのは今正に綱渡りをしているような状況だなと、そういう意識を持っております。
 そこで、お聞きを申し上げたいんですが、今、国の借金が五百五十ぐらいですか。これがこれから十年、二十年たってもまだ引き続き借入額は増え続けていくと。そういった状況の中で、毎年やはり多額の償還をしなければいけない。もちろんそういった財源はないですから借換えをするという形で、発行する国債をきちんと引き受けてくれる投資家というものも育てていかなければ、これは日本の国の財政が極めて苦しい状況になってしまうわけです。
 そこで、大臣にお伺いをしたいんですが、年度ごとにこの国債の償還額を平準化していく。やはり、多いときと少ないときとばらつきが出てきた場合に、それが市場においてきちんと安定的に消化されるかどうかというところは大変私自身も不安を持っているところでありますので、この平準化への具体的な施策があればお聞かせをいただきたい。
 そして、やはり、先ほど私が申し上げたように、平成三十年度にはこの国債の償還額が百五十二・五兆円と、今現状の百十二・八兆円から大体三割増加するというような試算も出ております。もちろん、今の経済環境を前提とした話ですから、これから税収が増えてくる、そういった中では変わってくるとは思いますけれども、このような中で、今の現状をベースにしたこういった試算に対しても、引き続き大量の消化については、これは十分考えていかなければいけないということであると思いますので、どのように対応されていくかということもお聞きをしたいと思います。
 それから、もう一点なんですが、今我が国の国債の場合、それだけ大量の発行をしておりますけれども、これが家計、いわゆる個人の所有というのはわずかに二・三%、そして海外の投資家の所有が三・三%と極めて少ないんですね。こういった保有割合が極めて小さいところに対してこれからどのように対応されていくか、あるいは、そういった国債の保有者層に対してどのようなお考えをお持ちになっていらっしゃるのか、それをお聞かせください。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、山下委員おっしゃいましたように、我が国は大量の国債を抱えておりますし、プライマリーバランスを回復しても、回復する努力を続けても、引き続き借換債等で大量の国債発行をしなければならないというのが現状でございます。
 特に、山下委員が御指摘になりましたように、二〇〇八年度、平成二十年度では十年債を中心とした国債の満期が集中していることもございます。それで、あるときにいきなりたくさんの国債発行をばんとぶつけて市中に消化してくれと言っても、これは必ずしもスムーズにいくかどうか分からないというリスクを抱えることになりますから、できるだけそういった発行を平準化するように、あるいは前倒しをして借換えをしていくというような手法を今までもやってまいりまして、どこかに突出したことができるだけないようにという運用をしております。
 それから、さっき申しました平成二十年にそのピークが来るのは事実でございますので、今言ったようなことをやりながら、満期の集中の緩和を図るために、平成十四年度以降買入れ消却なども行って突出するのを避けるということをやっているわけでございます。
 それから、そういうことをやっておりましても三十年後にはもっともっと国債の発行額が増えていくだろうということでありますが、財務省は、通称資金繰り表と言っておりますが、国債整理基金の資金繰り状況について仮定計算をやっておりまして、それによりますと、十七年度の要償還額は約百十三兆でございますが、平成三十年度には三五%増しの百五十二・五兆になるという状況でございますから、当然その国債管理をきちっとやっていかなきゃならないと、こういうことだろうと思います。
 それで、国債管理のもうイロハのイは、やっぱり国が財政規律をきちっとして頑張っているんだというのが国債管理のイロハのイだろうと思います。もうそこの、何というんですか、モラルをなくして、何でも借金で賄っちゃえばいいやと政府は思っていると思われたらうまくいかなくなっちゃうというのがイロハのイだと思いますから、そこはうまずたゆまずたがを締めていく必要があると思いますが、そこから先ということになりますと、委員のおっしゃったように、日本の国債の保有者というのは割合、今で申しますと郵貯、簡保であるとか、あるいは金融機関であるとか、比較的、偏ったと言うといけませんが、どこかに集中しているということがございまして、諸外国の国債に比べますと、個人とかあるいは海外居住者の保有割合というのが非常に低くなっております。
 そこで、やっぱり保有者の多様性を持たせていくということがやはり大事ではないかというようなことで、最近力が入れておりますのは個人国債の新型商品で、個人国債のそのニーズを見極めながらそういうものを発行する、これは大変好評をいただいているというふうに思っております。
 それから、先般来、海外で日本国債をどうかという広報活動を行っておりまして、もうその成果がすぐ現れたかどうか分かりませんが、私、今朝、日銀が今日発表した数字を見ますと、海外の保有者割合が四・三%でしたかね、四・三%となっておりまして、私の頭に入っていた数字は四%、これ去年の九月末の数字が四%で、今朝発表の数字は四・三%って、〇・三%上がりましたので、まあ広報活動だけではないと思いますが、少し拡大してきたと、こういうことでございます。
○山下英利君 ありがとうございました。
 ちょっと時間が来てしまいましたので、質問はこの程度にとどめさせていただきますけれども、やはり、今大臣おっしゃったように、海外投資家に対しての投資家説明、これを行っていらっしゃる、そして国債の保有も増えてきました。これは、今度反対に言うと、海外の投資家というのは非常に厳しいです。ですから、やはり今の日本の財政状況、これがどういう方向へ向かっていくのかということに敏感に反応してくるのがこれ海外の投資家だと思います。そして、あわせて、今度はやはり日本の投資家においてもそういった目で、いかに日本の国債であれ厳しい目で見てくるだろうと。
 今日は本当は質問をさせていただきたかったんですが、財投機関債、これについても、やはり自主調達ということであれば、必然的に自主調達に対する、投資家に対する説明責任と。きちっと説明して、きちっと実行をしていく、これでもって初めて調達も円滑に進んでいくということですので、どうか、むしろ国というよりも、顧客に対するやはり発行者、債券の発行をしている発行体という感覚でこの投資家に対して対応をしていただきたいと、そのように思います。
 もう時間が来てしまいましたので、私の質問はここでとどめます。どうもありがとうございました。





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