| 議 事 録 |
■第162回国会 参議院憲法調査会 (平成17年2月9日)
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○会長(関谷勝嗣君) ただいまから憲法調査会を開会いたします。 日本国憲法に関する調査を議題といたします。 「統治システムとその相互関係」について、委員相互間の意見交換を行います。 まず初めに、各会派から一名ずつ、それぞれ十五分以内で御意見をお述べいただきたいと存じます。 なお、御発言は着席のままで結構でございます。 それでは、御意見のある方は順次御発言願います。山下英利君。
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○山下英利君 自由民主党の山下英利でございます。 今日は、統治システムとその相互関係についてということで意見陳述の機会をお与えいただきまして、誠にありがとうございます。 この統治システムについての意見陳述をまずさせていただくにつきまして、私は、現在の立憲主義下におけるこの自由を守るためという、この不可欠な手段として、この権力の分立ということをはっきりさせなければいけないと、そのように私は思っております。 そうした中で、議院内閣制の枠内での三権分立、権力の分立であるということがまず私は前提になろうと、そのように思っております。すなわち、行政府の役割がますます増大していく中で、いろいろ議論をされておりますが、結果としてこの三権における行政府の優位性、これが論じられてきているわけでありまして、今現状、これが正に日本が官僚国家と言われるそのゆえんではないかなと思っております。こういった行政府の優位性が起こってしまったことに対して、やはりこれは議員立法がますます増えてくるという、流れを変えていく、そういったことが一つこの権力を分立させる大きなポイントではないかなと、そのように思っております。すなわち、よく言われる行政国家現象というものに対して国会の行政コントロールの強化が求められている点でございます。 また、この行政府とそれから立法府の大多数を同じ政党が担っているという、いわゆる実質的に一体化しているということも、一つ立法府による行政府の抑制機能がなくなってきているという点ではなかろうかなと、そのように思います。 そして、またさらに、この立法府とそれから行政府との実質的な一体化といった現象において、これは今度は司法府に対して政策に対するいわゆる合憲性あるいは違法的審査の役割、これが一般から期待をされていると。 そのような流れの中で、今、正にこれからの課題といたしまして、中央政府と地方政府の間のこの役割の分担というところもこれから議論をされていかなければいけないのではないかなと、そのように思います。すなわち、中央と地方の権限、地方分権といった流れの中で、権力の分立、あるいはその中においては地方議会と地方行政との関係、そういったものの役割についても論じられなければいけないと、そのように思っておるわけでございます。 したがって、この統治システムということに対しまして、まず大きな基本的なところによりますと、いわゆる米国における大統領制と、あるいは日本におけるこの議院内閣制、よく論じられるわけでありますけれども、まあそれぞれの国の状況、また制度の違いといったものが基本になっております関係から、これを二つを論じながらどちらがいいとか悪いとか、そういった話では私はないと思っておりますが、基本的に言って、議院内閣制の場合にはいわゆる行政、立法、この二つの権力を別の機関にゆだねているわけですが、結果としてこれを共同をさせていくということ、いわゆる議院と内閣の協力関係ということを前提とした制度でありますから、そういった意味におきましては行政府が立法府の信任をまず要件としている、そしてそれがこの多数党を要するに媒介としているという流れの中で、先ほども申し上げたように行政府の優位性というものが起こってしまったと。 そういった点を考えますと、今現状、ますます統治能力のスピード化、いわゆる改善を言われている中で、首相の権限の強化であるとかあるいは内閣機能の強化である、そういったことを論ぜられるときに、行政の当事者である内閣の立場を一層明確に憲法上明らかにして、そして国民に対して責任を取らせる体制を作ることが必要ではないかな、私はそのように思っております。 したがって、いわゆる内閣の場合におきましては、これは民主主義のルールということではなくて、内閣が全員一致制ということを取っております関係、これは内閣の一体性であり、かつ連帯責任である、そういった意味合いからこれは必要なことであると私は思っております。 それとともに、大統領制と違いまして、いわゆる大統領制の場合には全く大統領と議会とが分離をされております。したがって、立法権というものもいわゆるこれは議会にあり、そして多数派の一致によって多極共存型の政治が行われる環境があるというところが大統領制をしいているところの大きな違いだと私は思っております。したがって、今まだ現状、現状といいますか、日本におきましては、そういった多数派の一致というところをやはりこの立法府のいわゆる行政に対する牽制の中でどうして生かしていくかというのも大きなポイントではないかなと、そのように思っております。 したがって、これからそれぞれの権力に、三権における問題点、個別の問題点について少し述べさせていただきたいと思っております。 先ほど申し上げましたように、議院内閣制の枠内での三権分立といった形の中で、立法権、いわゆる立法権とそれから行政権の間の関係、これにつきましてまず最初に論じさせていただきたいと思います。 議院内閣制の中で、議会が行政に対するチェック機関、あるいは議会が行政を引っ張っていく、そういった使命を果たすことが時においては難しくなってくる、そういった場合において、議会というもの、いわゆる立法府が行政に対してどういう立場を取り得るのかということがあろうかと思います。国会の内閣に対するチェックの実効性を図るにはどうするべきかといった議論の中で、参議院におきまして、参議院改革協議会においていわゆる決算という問題も、これは行政における予算の考え方に対する立法府の牽制と、抑制といった意味ではあり得るのかなと、そういうふうに思っております。 したがって、この国会の内閣に対するチェックの実効性という意味からいきまして、これは衆議院、参議院両方併せた意味での立法府ということもありますけれども、またその中におきましても、参議院と衆議院の役割の分担ということも大変必要なことではないか。これにつきましては二院制の小委員会における議論の方に譲らせていただきたいと、そういうふうに思っておりますけれども、やはり国会がどういったそのチェック機能を持つかというところにおきまして、やはり監査の部分と、要するに行政をチェックする監査ということに置き換えてみれば、いわゆる参議院の決算という今の話も出てくるのかなと。それから、正に会計検査院の国会ないしは参議院への附属化を含めた機構の充実というような議論も出てくるわけでございます。 また、一方、国会においての野党の役割というものについてもいろいろ意見のあるところであります。また、これは、やはり多数決の原理に対して少数派による活用の道を開くべきというふうな考え方、これをどのように取り入れていくかということがございます。 しかし、一方では、我が国におきましても、一人でも質問主意書提出で調査・資料・証言請求が可能という状況ではありますけれども、これが行き過ぎますと、やはり政治的濫用の可能性ということが言われているわけで、やはりそれに対する歯止めは必要ではありますけれども、そういった少数派というものに対する国会での機能の活用というのは、やはり立法府が行政に対してしっかりとした立場を維持するためには私は必要ではないかなと、そのように思っておるところであります。 そして、一方では、先ほど申し上げたようなスピード化というような点がありました。統治能力のいわゆる改善といった面においては、やはり立法府からの政治任用による行政府と立法府の協力関係、これ、共同体制、これは欠くことのできないものではないかなと、そのように思っておるところであります。 したがって、与党が今事前審査制というような立場を取っている中で、この政治任用によっていかに行政府と立法府の間の共同体制がしっかり取れるようになるかということが、この政治の、法律に対する流れのシステムを変えていく、あるいは充実させる部分においては大きなポイントだと思います。 そしてまた、もう一つ申し上げるならば、いわゆる内閣総理大臣の機能強化と、そういった議論もされているところであります。首相権限をますます強化し、そしてスピード化、統治能力の改善を図ると。内閣機能の強化、首相権限の強化といったところが盛んに議論をされているところですが、やはり機能強化のための首相公選制の主張というものも一時ありました。しかし、そうではなくて、やはり首相あるいは政党を選ぶということを国民が実感をするという必要があろうかと思います。 大事なことは、やはり政権が不安定にならないと、安定した政権の中でしっかりとした政治システムが、統治システムが行われるというところかと私は思っておりますので、総選挙でいわゆる政党を選ぶという考え方はこの一つの方向性を満たしているんだと、そのように思っております。その際に、政党を選ぶということが、やはり総理大臣をだれにするかということと併せて考えられるならば、それによって国民は投票行動を考えていただけるというふうに思います。 そして、次に、行政権と立法権の関係につきまして私の意見を申し上げさせていただきます。 やはり、衆議院の解散という問題につきまして議論がされているところですが、私は、内閣の自由な意思決定というものからこの衆議院の解散、これを現状の規定ということで明確化してよろしいんではないかなと、そのように思います。しかし一方、立法府から行政に対する、行政権に対する抑制、牽制という意味におきましては、いわゆる国政調査権あるいは裁判官の弾劾といったような制度が盛り込まれているわけであります。 しかし、私がこの場でちょっと申し上げさせていただきたいのは、憲法の最終的な違憲解釈権をどこが持つのかというところであります。いわゆる最高裁判所が持つというふうな形にはなっているんでありますが、参議院が機能を有すべきではないかという議論も一部では出てきているところであります。 これは、言ってみれば、米国型のいわゆる具体的な審査制度、国民の権利を保障するという意味におきましては、現状では最高裁判所のいわゆるこの憲法に対する対応というものに対して不満の残るところでありますし、したがって、今の現状の状況におきましては、内閣の法制局がこの具体的な審査ということで違憲についての検討をしていると。いや、しかし一方では、また欧州型で申し上げますと、法令の憲法適合性の自体の審査をしていくという抽象的な審査制度を考える。すなわち、憲法保障という点を考えれば、最高裁が実際には司法裁判所としての役割であって、この憲法に関しての憲法判断をするという場合においては憲法裁判所を設置をすると、そういうふうな考え方もあろうかと思います。 内閣法制局が事実上の公的な公権の解釈機関であるということに関して、実質的にはこうだということに対しては、これは改善をしなければいけないというふうに思います。したがって、この司法裁判所と憲法裁判所と、そういう在り方の論議とともに、いわゆる現行の制度であれば、内閣法制局とそれから立法府の法制局との見解が分かれたときに終審裁判所へゆだねるという過程を明確にする必要があろうかと思っております。 その他もろもろございますが、時間の関係でちょっと申し上げることができません。しかし、実際にその違憲の審査権の行使について、これは司法権と行政権という関係ともダブってくるわけですけれども、やはり司法と行政との間の憲法に関する論議というもの、これに対して司法がどういうふうにかかわっていくのかと、立法府と行政との憲法に対するかかわりに対して司法がどういうふうにかかわってくるのかというところは大きなポイントだと私は思っております。 以上でございます。
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