議 事 録


■第159回国会 参議院経済産業委員会 (平成16年3月24日)


○小林温君
 自民党の小林温でございます。
 今日は、経済産業委員会での委嘱審査ということでございます。
 小泉内閣の下で、平成十四年度、十五年度と財政再建への取組が図られ、三回目の予算編成で今回の十六年度予算案が作られたわけでございますが、経済産業の関係予算についてめり張りの付いた非常にいい予算を組んでいただいたと、まず評価をさせていただきたいと思います。
 そして、今年度の予算全体を見たときに、私は、一つ注目すべきは、経済財政諮問会議が骨太の方針二〇〇三で予算編成のイノベーションというものを打ち出した、そして、その取組の一つとしてモデル事業というものを試行的に導入したことではなかろうかというふうに思うわけでございます。
 このモデル事業というのは、まず明確な目標を定めてコミットをする、そして厳しい事後評価をする、併せて予算執行を弾力化して、そして効率化によって効果が生じた場合には更にその効果を翌年度以降の予算にも反映させると、こういう取組でございます。
 本年度は、十省庁で十のモデル事業、約七百億円の予算が付いているわけでございますが、この中に経済産業省、そして特許庁の案件があるわけでございます。電子経済産業省の構築、それから特許事務の機械化、こういう二つのモデル事業がこの予算案の中に入っているわけでございますが、経産省として、この予算要求を、新しい取組として財務省及び各査定当局と折衝していただいた、そして予算案に盛り込んでいただいたわけですが、予算官庁側から見てこのモデル事業の意義というものについてどういうふうにとらえられているか、是非、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(中川昭一君)
 今、小林委員御指摘のとおり、十六年度から、いわゆる政策群あるいはモデル事業という新たな手法が予算の中で取り入れられたわけでございます。
 これは、いわゆる予算の目という一つの単位がございますけれども、目間の流用という言葉がちょっとイメージ的にいいのかどうか分かりませんが、ほかの目でも使うことができる、あるいはまた、複数年度にわたって、予算は御承知のとおり単年度主義でございますけれども、複数年度間にわたってこれを中長期的に政策実現のためにやれることができるということでございまして、今御指摘がございましたように、電子経済産業省構想とか特許庁の特許事務の機械化、この二事業にモデル事業として予算計上しているところでございまして、大いにこの制度を活用して政策実現のために我々努力をしていかなければならないというふうに思っております。
○小林温君
 同じ質問を財務省に差し上げたいと思うんですが、私は、IT予算の関係でこの委員会でも何度か質問させていただきました。予算の柔軟化を是非図ってほしい、特に複数年度の予算というものに前向きに取り組んでいただきたいということを財務省にお願いをしてきたわけですが、一方、例えば憲法八十六条あるいは財政法の十二条で予算の単年度主義ということもしっかりと明記されているわけで、この辺のところが今まで壁になってきたわけでございます。しかし、このモデル事業の取組というのは、ある意味では一つの成果として私は評価をしていいだろうと思います。
 そこで、査定当局として、今、経産省側からもお話がございました、モデル事業導入の初年度においてどのような意義があったか、また来年度以降の予算においてこのモデル事業をどう生かしていくかということについて、財務省さんからお答えいただければと思います。
○大臣政務官(山下英利君)
 小林委員御指摘のとおり、今回のモデル事業、正に財政の効率化、そして柔軟性を持たせるという意味で一つの大きなテストといいますか試行であると、そのように思っているところであります。
 モデル事業につきましては、限られた財政資金を本当に効率的に活用する観点から、プラン・ドゥー・チェック・アクションと言われますいわゆる考え方に基づきまして、定量的な成果目標を定めまして、事後にその目標達成の状況を厳格に評価してまいります。そしてその上で、目標の効率的な達成のための、事業の性格に応じて、予算執行を弾力化していく、その効率化の、効果を予算に反映させていくと、そういった趣旨のものでございます。
 十六年度の予算におきましては、十の事業につきまして、モデル事業としてこれを試行的に導入することといたしております。複数年度にわたるモデル事業につきましては、国庫債務負担行為等の活用によりまして、複数年度にわたる予算執行に支障のないようにいたしているところでございます。
 十六年度の予算では、この十の事業につきまして、それらの政策目標が行政サービスの質の向上など、いわゆる成果に着目した定量的な目標であるか等の観点から検討を踏まえて試行的導入を図ったところでありますけれども、今回の経験を踏まえまして、予算の効率化に向けた効果を見極めながら、今後とも、歳出改革を推進する観点からより良い予算手法の構築に努めてまいるつもりでございます。
○小林温君
 今、政務官からもお話がありましたように、国庫債務負担行為、繰越明許という複数年度予算の方法というのは今までもあったわけですが、なかなか要求官庁側からするとハードルが高くて使いこなせなかったということがあって、今回、このモデル事業というものを是非切り口にして、更に予算の柔軟化というものにお取り組みをいただければ有り難いというふうに思います。
 少し今回のこのモデル事業の中身について、その特許庁の特許事務システムを例に触れたいと思うんですが、特許庁は、システムを開発して管理してきた企業、いわゆるシステムベンダーとの間にデータ通信役務サービス契約というものを締結して、ベンダーがシステムを開発して保有をする、特許庁は使用料を払うという、こういう仕組みで今までシステムの維持管理を、開発も含めて行ってきたわけですが、これだと、毎年、制度変更に伴って例えばシステムの開発あるいはコスト負担が発生した場合に未償却残高、これは、いわゆる残債と呼ばれる隠れた債務を特許庁は負うという結果になってきたわけでございます。
 今回のこのモデル事業の取組の中で、特許庁は、来年度、他省に先駆けてこのいわゆる残債を一括償還するためにこの特許事務の機械化予算、十五年度は二百八十億だったものを十六年度予算案では五百二十九億計上しているわけです。これは、先ほど、十のモデル事業、七百億の中の五百二十九億でございますからかなりの部分を占めるわけでございますが、これは、私、大変画期的なことだろうというふうに思います、この残債の処理に取り組んでいただいたと。
 これは、特許庁並びに財務省さんにも、こういう取組をしていただいたことに敬意を表したいと思うわけでございますが、この経緯と予算増額に関する基本的な考え方について特許庁からお考えをいただければと思います。
○政府参考人(今井康夫君)
 お答え申し上げます。
 特許行政のIT化につきましては、昭和五十九年からペーパーレス計画ということで積極的に取り組んでまいりました。これによりまして、特許行政の効率化、出願人の利便性の向上ということで頑張ってきたわけでございますが、このうち、出願の受付のシステムなどの非常に基幹的なシステムにつきましては、平成二年度以降、いわゆるデータ通信サービス契約ということで、先生御指摘の形で行っております。このデータ通信サービス契約につきましては、先生が主要メンバーをなさっておられます自民党のe―Japan特命委員会からも、この脱却を図るように御指摘を受けてきたところでございます。
 特許庁といたしましては、このような御指摘なども踏まえまして、昨年、外部の専門監査法人を用いまして徹底的なシステム監査を実施したところでございます。その結果、価格はおおむね妥当でありますけれども、調達方法の見直しによってコストの低減の余地があるというような監査結果をちょうだいしまして、これを踏まえて、今回、システム開発費用の残額でございますいわゆる残債を一括して支払いましてデータ通信サービス契約から脱却するということで、御指摘の残額二百七十七億円を含みます五百二十九億円を予算として計上したところでございます。
 このいわゆる残債の一括返済によりまして、支払によりまして、特許庁が情報システムソフトウエアの著作権を持つことになります。この結果、特許の審査迅速化に向けましてより効率的なシステム開発を実施することが可能になるかなというふうに思っておりますし、また今後、いわゆる残債を払った後、WTOの政府調達ルールにのっとって入札準備を行い、平成十七年度から競争入札による調達を実現してまいりたいと、このように思っております。
○小林温君
 今お話ありましたように、党の方で、我々、こういう古い大きなシステム、レガシーシステムと名付けて、これからの脱却ということをお願いをしてきたわけでございますが、今回の特許庁の改革というのは大変各省庁を始めとして関係者も注目をするところだろうと思います。
 こうしていわゆる残債を一括して支払った結果、どういうコスト削減効果が見込まれるか、教えていただけますでしょうか。
○政府参考人(今井康夫君)
 お答え申し上げます。
 データ通信サービス契約のいわゆる残債を一括して支払いますと、レガシーシステムというものから脱却するということになりますと、この残額に掛かります金利負担が二十億円、これを節約することができるというふうに考えております。
 また、今後、先ほど申しましたように、競争入札方式に移行いたしますと、その調達コストが削減されるというふうに私ども期待しておりますし、考えております。
○小林温君
 これは最初の取組でございます。是非これを他省庁にもまだ存在するレガシーシステムに広げていただきたいと思うわけでございますが、先ほど来申し上げているように、財務省さんに今回踏み込んでいただいたわけです。そして、他の省庁でいまだ存在している大きな古いレガシーシステムについても、今後それぞれ刷新可能性調査というものが行われて業務の内容あるいはシステムの見直しを行うわけですが、こういう点について、各省庁から仮に要求があれば、この残債の一括償却というものについては財務省さんとしてはしっかり前向きに取り組んでいただけますでしょうか。
○大臣政務官(山下英利君)
 小林委員にお答えを申し上げます。
 これは昨年の七月に取りまとめられました電子政府構築計画におきまして、簡素で効率的な政府を実現するための、いわゆるレガシーシステムにつきまして各府省で見直しに向けた行動計画が策定をされているところでございます。各府省におきまして、この行動計画に沿いまして、近年の情報通信技術の進歩を踏まえて、システムの開発、運用に掛かる全体のコスト、これを引き下げることが可能かどうかという判断をするための刷新可能性調査というものが順次行われることになっているというところでございます。いわゆる契約というものにつきましてのこれからの在り方というところが大きい問題であるなと思っているところであります。
 財務省といたしましても、この各府省の業務見直し等を含めたコスト縮減に向けたこの取組を積極的に促すとともに、各府省における検討結果を踏まえまして、限られた財政資金の中で運用に対しての予算の効率化に最大限努めてまいりたいと、そのように思っております。
○小林温君
 中央の省庁あるいは地方自治体あるいは特別会計の対象においても、二兆円とも言われるようなシステム予算があるわけでございますので、それぞれにおいてこういう取組をしていただければ歳出改革の成果というものはかなり期待できるんじゃないかと思いますので、是非引き続き財務省さんにはお取組をお願いをしたいと思います。
 次に、情報関係のセキュリティーについてお伺いをしたいと思うんですが、コンピューターウイルスが多発をしております。私も今日、朝、自分のパソコンを開きましたら、四十七通のメールが、ホームページで自分で公開している方のアドレスでございますが、入っておりまして、皆さんもそういう経験をされているんだろうと思います。それから、今年に入ってから、大手のプロバイダーあるいは大手の通販業者からの個人情報の流出事件等も大きく報道されているわけでございます。
 情報をいかに守るか、例えばデータや情報システム、それからネットワークを正当な利用者が必要なときに利用できるように完全な状態で保つ、これが情報セキュリティーの定義だと思いますが、これは安全で安心な社会をIT化の中で実現していくためには大変重要なことだというふうに思います。また、サイバーテロという言葉もありますように、国民生活や社会経済に深刻な被害を与える可能性もこの情報セキュリティーの扱いによってはあるわけでございます。
 そこで、現在、政府においてはこの情報セキュリティーについての取組、どういう体制で行っているか。人数はどのぐらいか、だれが指揮権を持っているのか、それを諸外国と比較した場合にどうなのかということについて、これは内閣官房からお答えをいただきたいと思います。




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