議 事 録


■第161回国会 参議院財政金融委員会 (平成16年11月25日)


○委員長(浅尾慶一郎君)
 ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑に入ります。
 なお、質疑時間が限られておりますので、簡潔に御答弁いただくようお願い申し上げます。
 それでは、質疑のある方、順次御発言願います。
○山下英利君
 おはようございます。自由民主党の山下でございます。
 本日は──座って失礼いたします、古沢参考人、新井参考人、お二人の参考人の皆さん、本当にありがとうございます。
 私から質問をさせていただきたいと思いますが、信託協会会長としての古沢会長の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
 今回のこの信託業法案の改正に当たりまして、信託の業界からは、信託機能の発揮と、それから経済産業の活性化ということで、信託が発展すれば経済産業に対してその活性化に資するというふうな御意見を伺っているところですけれども、具体的にはどういう結び付きということを、会長、考えておられますか。
○参考人(古沢熙一郎君)
 それでは、ただいまの御質問に対して……
○委員長(浅尾慶一郎君)
 参考人、発言の前に委員長と言っていただけますか。古沢参考人。
○参考人(古沢熙一郎君)
 それでは、ただいまの御質問に対して御回答を申し上げます。
 近年、資産の流動化の器として信託が用いられておりまして、対象となる財産を信託をし、それにより生じた信託受益権を多数の投資家に対して売却することで資金調達が図られるというようになっております。この手法が更に活発に利用されることによりまして、金融機関からの貸出し、有価証券市場での有価証券の発行という手段に加え、資産を背景とした新たな資金調達手段として定着することとなりますので、企業への資金供給手段の多様化につながるものと考えております。特に、有価証券市場での資金調達が困難な中小企業にとっては、優良な資産を保有していればこのような取組は可能となりますことから、有力な手段になるものと考えております。
 さらに、この信託受益権が投資家間で活発に譲渡されるということになりますと、流通市場において対象となる財産の価値が決定されるということになりますので、資金調達を行う側のメリットも生ずるという側面も期待できるということになります。
 こうしたことから、受託可能財産に関する制限を撤廃し、信託業及び信託周辺業の担い手を拡大するという本法案は経済、産業の発展に大いに寄与するものと考えておりまして、その担い手として一層の努力をしてまいりたいと思います。
 以上でございます。
○山下英利君
 ありがとうございます。
 今の御説明を更にちょっと深掘りをさせていただきたいと思うんですが、今回、信託業法の改正に当たりまして、目玉といいますか、ポイントとして知的財産権、いわゆる受託財産の拡大ということがうたってあります。先ほど新井参考人の方からもちょっと御指摘がございました。
 知的財産権なるものは相当専門知識を要しますし、また個々のベンチャー企業なんかは一つ一つは非常に小体の企業が多いわけです。そういった中で、こういった改正が行われたときに信託協会として、信託をやっていらっしゃる古沢会長として、これ、どんな商品として実際にマーケットで流通させられるんだろうか、そこのところをちょっとお聞かせいただけますか。
○参考人(古沢熙一郎君)
 それでは、ただいまの御質問に対して御回答を申し上げます。
 知的財産権の流動化を行う場合に、当然ながら投資家にとってその信託受益権が購入しやすいものでなくてはならないということで、したがいまして、その知的財産権から生ずるであろう収益がある程度予測できるものが取り組みやすいというふうに考えております。
 私見ではございますが、アニメやゲーム業界が保有する著作権、特にヒット作品の著作権を流動化し、その第二弾の制作費として調達をするといった形での取組が先行するのではないかというふうに考えております。一方、その知的財産権につきましては、この知的財産権の特性に関する投資家の理解が深まるまでの間は、例えば、その価値が減少した場合には第三者が補完措置を行うということであるとか、あるいは有価証券などの他の資産と組み合わせまして知的財産権に投資するといった商品設計上の工夫も必要になるのではないかというふうに考えております。
 なお、特許権につきましては、巷間指摘されておりますように、その価値評価の問題は存在いたしますが、そのマーケットに精通する第三者の協力を得て、信託を用いて特許権を管理して、その利用を促進するといった方法での取組は考えられるかなというふうに思います。
 以上でございます。
○山下英利君
 やはり知的財産権なんかになりますと相当専門性高くなるということで、実際信託業者として自己完結でということでいきなりこのマーケットに入っていけるかどうか、その辺については非常にいろいろ検討をいただかなきゃいけないかなと、そのように私も思っていますので、今回の法案改正に際しまして、そういった対応というのを頭に入れていただきたいなというふうに私は思っております。
 そこで、時間が非常に限られておるんですけれども、新井先生にお聞かせをいただきたいと思うんですが、これからの信託、信託は幾つかのパターンがあります。資産の運用あるいは資産管理、そして運用、調達の面で非常に重要な機能を持っていくということなんですが、先生さっき御指摘がありましたいわゆるパーソナルトラストですね、この分野において、要するに生活支援の育成のための信託としてのビジネスモデル、これは、先生、お考えになられたことございますか。
○参考人(新井誠君)
 ビジネスモデルは既に海外でも例がありまして、例えばアメリカの例ですけれども、信託をして、それでその信託財産によって老後生活を支えると。その生活支援の中には、例えば医療費の手当てであるとか、それから福祉的な関連の資金の手当てであるとか、そういうものを信託の中で行うというようなモデルもあることは私は承知しております。
 日本でもそういう取組、一部の信託銀行で既に始まっておりますので、私としては、そういうものが順調に育っていくことが必要であると思いますし、さらにこの分野での新規参入があってもよろしいのではないか。その新規参入者と信託銀行がきちっとした競争関係を維持することによって是非こういうビジネスモデルを発展させていってほしいというふうに考えております。
○山下英利君
 ありがとうございます。
 確かに非常に将来において大事な分野ではあります。しかし、そのビジネスモデルがしっかりと作り上げられて、そのビジネスモデルというのは、これ、今度は民間の事業としての採算というものもしっかり確保できるというふうな形で取り上げていただけるような、またいろんな知恵を出していかなきゃいけないという思いがありますので、これは信託協会としてもまた十分考えていただきたいと思っているところであります。
 そして、もう最後になりますけれども、最後の質問として、そういう中で、いわゆる国内の富裕層に対するいわゆるプライベートバンキングという言葉が最近よく聞かれるわけであります。このプライベートバンキングの中で信託の持つ位置付けというのは非常に大きいんではないかなと私拝察をしているんですけれども、これからの金融資産の保有形態が変化してくる中で、これは古沢会長にお聞きをしたいんですが、日本型のプライベートバンキングというものはどういうものか、あるいは先般ちょっと問題になりましたシティバンクが行ったプライベートバンキングにおける問題点、これをちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
 そして、それで私の質問は終わりにしたいと思います。
○参考人(古沢熙一郎君)
 プライベートバンキングというのは、一般的には富裕個人顧客との間で保有する資産の有効活用であるとか、あるいは相続対策を個別に提案するといった業務を指しているわけでありまして、これらの業務については、必ずしも信託銀行だけでなくて、証券会社であるとか普通の銀行でもこういった業務を行っているわけであります。ただ、その中で信託はこういった業務に関しまして重要な機能を担っているということで、今後もこうした業務については私どもとしては前向きに力を入れていきたいというふうに考えております。
 それからもう一つ、シティバンクの問題がございましたが、私どももシティバンクの問題については詳細を知っているわけではありませんけれども、新聞等で報道されているものから推測をして申し上げますと、いわゆる内部管理体制の構築が十分にできてなかったということが基本にあるのかなというふうに考えております。
 それで、例えば私ども信託の場合は、例えば信託財産の管理運用する部門と、それからいわゆる法令遵守の管理であるとかあるいは内部監査を担当する部門、それらが相互に牽制関係にあるという組織を作っておりまして、そういう形で事故防止をするということを考えているというようなことであります。
 その上で、実務におきまして忠実義務、分別管理義務等の受託者責任を果たさなかった場合に生じ得るリスクを認識をして、そのリスクが生じないための適切な社内ルールを策定して、そのルールの妥当性や遵守状況を監査部門が定期的にチェックする体制が必要ではないかと、そのように考えております。
○山下英利君
 ありがとうございました。
〈中略〉

○委員長(浅尾慶一郎君)
 休憩前に引き続き、信託業法案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○山下英利君
 自由民主党の山下英利でございます。トップバッターとして、この今議題となっております信託業法案につきまして政府側に質問をさせていただきたいと思います。
 まず、大臣、衆議院の本会議の都合というふうに承っていますので、まず冒頭に大臣の御所見、御説明をお聞きをしたいと思います。
 まず、私から申し上げたいのは、先般いただきました趣旨説明を基本といたしまして、昨今、信託の社会的なニーズ、これが非常に高まっているということをお聞きするわけでありますが、具体的に申し上げまして、なぜこの信託のニーズが高まっているのか、その辺のところを大臣の御所見と、それから今後の展開ということにつきましてお聞きをいたしたいと思います。
○国務大臣(伊藤達也君)
 お答えをさせていただきたいと思います。
 今委員から信託活用のニーズが高まっている理由についてお尋ねがございました。この理由につきましては、産業界における知的財産権の重要性の高まりや、あるいは資産の流動化に関する環境の成熟化を受ける形で知的財産権のグループ企業内での集中管理、そしてTLOによる大学技術の企業等への移転の促進、そして売り掛け債権や不動産等の流動化及び資金調達の手段といった分野で信託機能を活用したいというニーズが高まっているということが挙げられるというふうに思います。
 また、一般の事業会社を含む信託業への参入ニーズというものも高まってきておりまして、具体的な例を挙げさせていただきますと、不動産会社が不動産の販売、賃貸に関して有するノウハウというものを生かして受託不動産の管理運用業務を行うこと、また信託会社が投資家から信託を受けた資金を利用し中小企業等に貸出しを行うこと、さらには、その他、金融機関以外の者が信託業へ参入し多様な信託商品の提供を行うことなど、ニーズが高まってきているところであるというふうに考えているところでございます。
 こうしたニーズにこたえることによって信託業の発展というものが実現をし、そしてそのことが日本経済の活性化につながってくるものだというふうに私どもとして期待をしているところでございます。
○山下英利君
 どうもありがとうございました。
 今の御説明の中で、やはり企業のニーズというものを主体にしているということなんですけれども、大臣はこれから衆議院の本会議ということなんで、これからは副大臣、政務官にお願いをしたいと思います。
 それで、次に、今の質問とはまた別にお聞きをしたいんですが、今回の信託業者の認定基準についてなんですけれども、株式会社、そしてもろもろの条件が付されている、これを満たさないと新規参入ができないということなんですけれども、副大臣にお伺いいたします。
 金融庁として、具体的にどういった会社がこれに該当すると、入ってくるというようなイメージをお持ちでいらっしゃいますか。
○副大臣(七条明君)
 一つずつ考えてまいりますときに、考えられますことは、今まで参入をしておらなかったような、今回の場合については知的財産権、知的所有権のようなものをする業、それを業としていくような者については出てくるものと思いますが、具体的には理事者の方から答えさせていただきます。
○政府参考人(増井喜一郎君)
 お答え申し上げます。
 いろんな会社といいますか、いろんな形で参入があると思われます。今副大臣から御答弁させていただきましたように、知的財産権についてそのグループ内企業でこの信託を活用するといったケースだとか、あるいはTLOなどによる信託の活用、あるいは不動産会社が受託不動産の管理運用を行うために信託を活用する等々、様々な会社が参入してくるというふうに考えているところでございます。
○山下英利君
 どうもありがとうございます。
 今御説明をいただいたんですけれども、今回、その知的財産権といったような受託財産の多様化、これに対応しているというところの御説明がかなり力点を置かれてあったわけでありますけれども、それで、今回、この法案の中を拝見いたしますと、この信託会社が信託業務の一部を第三者にも委託できるというふうな形で、信託会社が、本体でなくて、その業務の一部を委託しながらやるというようなこともうたってあるわけなんですけれども、これは具体的にどういうイメージを考えていらっしゃるか、金融庁の方に質問させていただきます。
○政府参考人(増井喜一郎君)
 お答え申し上げます。
 まず、この本法案で信託会社が信託業務を第三者に委託するということができることになっておりますが、ただ、この仕組みを若干御説明を申し上げますと、この法案におきましては、免許申請等の際に提出する業務方法書に、信託業務の一部を第三者に委託する場合に、その委託する信託業務の内容及びその委託先の記載が必要となっておりまして、仮にその委託先が確定していない場合には、委託先の選定に係る基準及び手続などを記載する必要があるということになっております。
 それから、委託の範囲につきましては信託業務の一部に限られておりまして、委託先等が信託契約に明示されていることとされるとともに、委託先につきましては委託された信託業務を的確に遂行することができる者であること、あるいは委託先に係る契約において、委託先が委託された財産を自己の固有財産と分別して管理すること等の条件が付されていること、こういった条件を満たす必要がございます。
 そういったことで、そういう規制の下で委託先へ委託ができるということになっておりまして、この規制の中でいろんな委託のケースが考えられると思います。具体的なことにつきましては、この今の段階で様々なケースが考えられますので余りお示しするわけにはいきませんが、こういった制度を利用するということは当然考えられるというふうに考えております。
○山下英利君
 したがって、先ほどちょっとお話があった例えば知的財産権、実は今朝ほども参考人に対する質疑の中で同じような質問をさせていただいたんですけれども、知的財産権というのは非常に専門性の高い、かつその中身をよく調べるということが非常に難しい、専門家を使わなければいけない、そういった部分において従来の信託銀行が本体でそのままやるというのはなかなか難しいというふうなお話も聞いたわけであります。
 したがって、この第三者に委託ができるといった場合に、例えば知的財産権の中でもどういったものについて、まあいろいろあります。今日話が出ていたのは、例えばゲームのソフトであるとか、そういったものについては対応もできるだろうけれども、例えば製造業が持っている非常に先端的な技術あるいはソフト、一般的でないソフトとか、そういったものに対する評価とか、こういうのは非常に専門家に依存しなければならないというようなところがありますんで、この第三者に委託をするといったところでのその委託の先の基準ですね、これをしっかりと、見る際に、そういった技術面であるとか、いろんな要素を含めていかなければいけないと。また、今度反対に、例えば金融庁がこの信託業という形で今度は検査、管理をしていく場合には、そういったものにまで踏み込んでいかなければならないんじゃないかなと、そのように思っています。
 これは質問ではありません。したがって、これは知的財産権を信託財産として広げるという中でいろんなビジネスモデルが出てくると思います。それに対するやっぱり金融庁の目線というのを変えていかないと、また不測のことにぶつかるということも往々にしてあり得るわけなんで、どうかそこの点はよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 そして、私の次の質問なんですが、これに依存してきます。今は大体企業サイドというような話がありました。ですけれども、これが今度流動化していって、例えば個人の方へ振り向けていった場合に、いわゆるよく言われているのがプライベートバンキング業務というのがあります。
 プライベートバンク業務というのは、じゃ実際中身どういう業務かと、その基準が決まっているわけではありません。ありませんので、いわゆる一般的に言ういわゆる個人取引、これの中で要するにこの投資顧問会社というものが、債権が流動化するときに、この信託会社と兼営、あるいはどういう形でこういった個人向けにプライベートバンク業務を展開していくんだろうかというようなところは、金融庁、どのような目線で見ておられるか、それをお答えを願います。
○副大臣(七条明君)
 今、プライベートバンキングについてと、こういうことでございましたけれども、本来、先生言われますように、プライベートバンキングそのものは法令上定義がないと、こういうようなことをおっしゃっておられました。実にそのとおりでございますが、この法案の中で信託業務については、いわゆる多様な形で富裕層のニーズの、特にお金をたくさん持っておられる方々のニーズの多様といった観点においてプライベートバンキング業務と同様の機能を有していると考えるべきであろうと考えております。
 したがいまして、法令で定める業務の範囲内において、投資顧問会社等が信託会社となった上で、信託業務としていわゆるプライベートバンキング業務と同様の業務を行うことも想定をされるのではないかと、こういうふうに考えておるところでございます。
○山下英利君
 ありがとうございます。
 こういった信託の業法のような形の討議のときには、やはり具体的なイメージがないとなかなか審議の際に分かりにくいというところもありますので、そういった意味で質問をさせていただいているわけでございます。
 次の質問なんですが、したがって、そういった、今回他業種から参入をするということになりますと、いろんな義務規定、これは信託業法においては今回の中に盛り込まれております。
 ここで一点お聞きをしたいのは、例えば守秘義務規定というのがあります。これは、例えば銀行における守秘義務規定というのはかなり厳しい守秘義務規定があるんですけれども、例えば先ほどお話のあった不動産業あるいはほかの他業種が信託業という形で今回入ってきた場合に、いわゆる従来金融業が持っている、課されている守秘義務規定と同じ扱いの守秘義務規定が課されるのかどうか、そこの点をお聞きをしたいと思います。
○政府参考人(増井喜一郎君)
 お答え申し上げます。
 本法案におきましては、信託会社あるいは信託契約代理店、それから信託受益権販売業者につきまして、明文によりまして守秘義務の規定は置いてございません。しかしながら、信託会社につきましては、法令及び信託の本旨に従い、受益者のため忠実に信託業務を行わなければならない、これは二十八条という条文に書いてございますが、ここに規定されているところでございまして、忠実義務というのがございます。これが、受託者は専ら信託財産、すなわち受益者の利益のためにのみ行動すべきであるという義務でございまして、信託会社等が当該信託契約において知り得た秘密を正当な理由なくして漏らすということは、これは受益者の利益に反する行為ということでございますので、忠実義務に違反する行為であるというふうに解することが可能ではないかと思います。
 したがいまして、今申し上げました信託業法上の忠実義務規定、それから契約上規定されている場合の義務、あるいはこれまで長年にわたって信託銀行等が行ってきた信託業務等を通じて構築されてきました慣習法等を根拠といたしまして、信託会社などにつきましても守秘義務があるというふうに解し得るものというふうに考えております。
○山下英利君
 ありがとうございます。
 守秘義務規定というのは、これは金融だけじゃなくて、こういった信託、特に個人を介する仕事になったときに一番大事な義務規定だと私は思っておりますので、その辺のところがきっちりと検査あるいは指導等によりまして今後遺漏がないようにお願いをしたいなと、そういうように思います。今の御説明によれば、信託業の守秘義務ということで従来の信託銀行とも同じ扱いというふうな御説明でありますので、きっちりとやっていただきたいと、そのように思います。
 それで、そうしますと、もう一度金融庁さんにお聞きをしたいんですが、他業種から入ってきた信託会社ですね、これはある意味じゃ子会社という形で入ってくるんではないかなと思いますけれども、そういった他業種といわゆる信託銀行、いわゆる銀行、金融機関等に課される義務というのは基本的に信託の部分については全く同じだと、そういう理解をしてよろしいんでしょうか。そして、それであれば、いわゆるコンプライアンス、これに対しても、要するに一般の金融機関と同じ目線というか同じ基準のコンプライアンス規定というふうなことになるんでしょうか。その辺はいかがでしょうか。
○政府参考人(増井喜一郎君)
 お答え申し上げます。
 先生御承知のように、例えば銀行につきましては大変厳しい監督あるいは検査を行っております。これは、預金者、預金を預かっているという意味で免許業種でございますし、そういう意味ではいろんな形での、ガイドライン等も含めて厳しい規制を行っております。
 信託会社自体のコンプライアンスというのは非常に大事だというふうに思っておりますが、そこの部分は業法によってそれぞれの規定の在り方というのが違っておりますので、当然そのコンプライアンスという意味では大事だということは同じでございますけれども、多少そこの部分は、例えば銀行と全く同じということではないかもしれません。ただ、いずれにいたしましても、何回も申し上げますが、そういったコンプライアンスの観点からの監督というのは非常に大事だと私どもも思っております。
○山下英利君
 今の御説明、よく分かります。金融とそれから信託って違いますから、ですから、信託をやる部分においては、銀行がやらなきゃいけないコンプライアンスも、それから一般のほかの業種が、会社がやらなければいけないコンプライアンスもこれは同じだと。そのコンプライアンスの中身については、これからしっかり見て、銀行を見て、金融機関を見ていらっしゃる金融庁がやはり目線というものをどこに置くかというのは非常に大事だと思いますので、そこのところよろしくお願いしたいと、そういうように思います。
 もう一つ、もう一点はその個人の信託ということで今朝ほどの参考人質疑でも少しお話が出たんですが、やはりこれからの高齢化社会に対応したいわゆる公共信託、パーソナルトラスト、こういったものについてやはりこの信託というものが持つ位置付け、いわゆる将来の介護とか、そういったいわゆるお客さんのニーズに合わせるサービスということで考えたときには、その財産管理と、それからそのお客さんの身上監護というんですか、そういった面でのサービス、受益者介護というんですか、をやっていく意味においてこの信託というのが非常に有効なツールだというふうに伺っているところなんですが、今後、この分野における信託というものの発展について、金融庁、どう見ていらっしゃるか、あるいはその問題点というのをもう既にお持ちであれば、それをお聞かせいただきたいと思います。
○副大臣(七条明君)
 今御指摘のパーソナルトラスト、いわゆる御指摘をされておられる福祉に、これからのニーズの中で、特に福祉の信託、その意味でおきますと、例えば知的障害者や神経障害者の子供を持つ親が自宅の、自己の保有するアパートや賃貸マンションについて遺言信託を設定をする、あるいは親の死後も受益者である障害者に安定した生活費を供給していくというような福祉信託というケースが一つございます。
 また、自宅不動産に住み続けながら、自宅不動産を担保にして年金式により資金の融資を受け、死亡などの契約期間満期時にその不動産の処分等により元利一括返済を行う制度、いわゆるリバースモーゲージについて、これらを信託を行っていくことも検討をされる。
 これらのスキームについて信託を活用するメリットは、いわゆる利用者がいろいろな形で、利用者が高齢者であるために不動産の管理について、あるいは利用者の過誤あるいは第三者の詐欺や脅迫によって譲渡、担保権の設定等がなされることがあろうかと思ってまいります。信託を利用すれば所有権は受託者に移転する等々のことが考えられますから、問題が生じた場合にも早く解決をしやすいというようなことが出てまいります。また、信託設定期間中に高齢者の方々が意思能力が低下をしてくるような場合も起こってまいりますが、これらも信託は持続するという観点で法的には安定したものにはなるのではないかと。こういう意味では発展をしていく要素につながっていくものではないかと思いますし、今後はそういう意味でのニーズが高まっていくのではないかと、こういうふうに考えるところでございます。
 また、先ほど問題というような表現で先生おっしゃっておられましたけれども、パーソナルトラストについて、信託制度上の問題として、こうした福祉目的の信託を行う場合には株式会社以外の参入を認めることができないかとの御指摘があることは承知をいたしておりますが、株式会社以外の者について、信託業への参入については、その必要性や妥当性を踏まえて、現在改正作業中の会社法制の動向や他の信託業、信託業態の取扱いとの整合性、現在進められている公益法人改革論議にも踏まえて、今後参入についてどうあるべきかということも考えていかなければならない課題だと、こういうふうに考えているところでございます。
○山下英利君
 どうもありがとうございました。
 すなわち、信託というのは、例えば、今よく言われているのは、この市場の、貯蓄から投資へというふうなところに軸足を置いて、資本市場の開拓というふうなことも言われておりますけれども、実際にはこういった将来介護みたいな、そういった受益者のニーズを幅広く取り入れていける、そういった事業であると。したがって、今までのところはその信託、ついつい信託銀行というイメージで、金融というイメージがずっと付きまとっているんですけれども、やはり今後はこの信託業というのが金融業以外の部分にも広がっていかなければいけないんじゃないかなと、私はそのように思います。
 したがって、今副大臣御説明になったとおり、いわゆるパーソナルトラスト、この部分については金融という部分を離れた側面もあると思いますので、また引き続き御検討といいますか、この分野をしっかり見ていっていただきたいなと、そのように思うところでございます。
 で、また本題にちょっと戻らせていただきたいんですけれども、実際、中小企業の資金ニーズにこたえる、あるいは大企業の資金ニーズにこたえるといった意味での信託でありますけれども、よく言われているこの信託、これが日本の場合にはどうしてもカストディーといいますか、管理を主体にした業務というふうに位置付けられてきたところがあります。例えば、アメリカで言ういわゆるトラストと法制面でも違いがあるということは私もよく存じ上げております。
 その中で、例えばプロジェクトファイナンスと申しますか、融資をする際に、従来は例えば不動産の担保がなければ貸出しができないと、こういうふうに言われたところを、最近は不動産担保じゃなくても、いわゆる流動性を担保するような努力をして、そしてきちんとした資金フロー、これを確保しながら融資を行うという努力というのも民間の金融機関でされていると、そういうふうに聞いているんですけれども、金融庁の方で従来御検討をいただいているというふうにお聞きをしておりますけれども、いわゆるエスクローアカウントというのがあります。
 これは要するに銀行の預金勘定から分離するということでありますけれども、私も細かいところについてはよく存じ上げないところがありますので、ちょっとその辺のところを御説明いただきながら、その検討状況について御報告をいただきたいと思います。
○政府参考人(増井喜一郎君)
 お答え申し上げます。
 今先生御指摘のエスクローアカウント、エスクロ勘定というものでございますが、これは例えばインターネットを通じた物品等の売買における取引の安全を図るという目的で、買主が商品の確認を完了するまで買主からの購入代金を預かりまして、その確認後に売主に送金するサービスに用いる勘定でございます。
 要するに、買主としてはどういう商品か分からないという、インターネットの場合にはそういうことがあるわけでございますから、そういったことを確認しないで代金を送るということになりますと、いろんな事故、トラブルのもとでございますので、そこをこのエスクローサービスをする者が中に入ると、そういうことではないかというふうに考えております。
 こうしたサービスにつきましては、例えばその信託会社たるサービス提供者が買主を委託者、それから売主を受益者として、自らが受託者となって購入代金の信託を引き受けまして、その管理、処分を行うという信託スキームの活用を通じて提供されるということが考えられるわけでございます。
 ただ、いずれにいたしましても、まだその具体的なスキームにつきましては今後いろんな形で検討が行われるというふうになるというふうに考えておりまして、私どももそういった動きにも注目をしていきたいというふうに思っております。
○山下英利君
 ありがとうございます。
 このエスクロの勘定というのが従来から日本では法制度上できないというふうなことで聞いておりまして、金融機関にしてもそうですし、あるいは一般の方が、先ほど御説明いただいたように、ネットで購入をすると、そういったときの購入代金の決済等についてもそこをしっかり担保できるというふうに、一般の預金口座から分離した形の勘定の設定ができるという形になれば、これは非常に信頼、いわゆる消費者からの信頼というのも出てきますし、それからまた一方、融資という形であっても、一般の預金口座と分離した形でしっかりそれを引き当てとして見るということができれば、従来型のようないわゆる不動産による担保というものがなくてもリスクが取れるんではないかなと、そういうふうに思いますので、これは非常に有効なツールではあると思います。
 そういった意味におきまして、今の局長からの御説明、まだまだ道半ばというような印象を持っていますけれども、これは是非とも金融庁の方でこれを実際に具体化できるように御検討いただきたいと思いますが、その辺のところはいかがでございましょうか、副大臣。
○副大臣(七条明君)
 今先生から御指摘の問題につきまして、特に今貯蓄から投資へという流れの中で、信託業務が持つ一つのこれから幅広い利用やニーズが出てくるものではないかと考えておりますから、今先生の言われるようなことも十分認識をしながら金融庁としては前向きに検討してまいりたいと考えております。
○山下英利君
 ありがとうございました。
 私、時間になりましたんで、これで質問を終わります。




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